vol.4 レイクトラウト、カナダ・イエローナイフの旅

2023年06月25日

2016年10月29日 14:00

世界最大のイワナの仲間、レイクトラウト。50年以上生きると言われ、1.5mを超す個体も存在している。

その生息地は北米大陸北部。主にカナダの極北地域の湖などで、一生海に降りることない淡水性のイワナだ。

野生のサケ科の魚をその原産地で釣ることをテーマにしている私にとって、一度は釣ってみたい魚の一つだった。

そして、やっとそのチャンスが2016年9月にやってきた。



                         *最大は、88cm。雨と風の中で


今年2016年9月中旬に、同じくカナダのバンクーバー島でキングサーモンを狙い、その足でカルガリーを経由し

ノースウエスト準州のイエローナイフを訪れた。カルガリーから約1800km北上したその地は、北極圏まで後約400km

という位置にあり、日中の平均気温は7~8℃で既に季節は晩秋から初冬へ。

イエローナイフの広大なグレートスレイブ湖から飛び立つ水上飛行機でロッジへと向かう。




離陸して数分後、空から見下ろした極北カナダの風景に圧倒される。

ごつごつとした岩肌とその合間に茂る針葉樹林の森の大地、その中に無数に点在する湖や沼。

地平線までそんな景色が延々と続いているのだ。

 



乗ってわずか15分で目指すダンカンレイクの湖畔に建つイエロードッグロッジに到着。



 



                     *上がイエロードッグロッジ。下はロッジから望むダンカンレイク


まだ朝の9:00過ぎのことだった。ロッジオーナーのゴードンやスタッフに歓迎を受けながら、会話を交わす。

「 数日前には雪もちらついたんだ。今日は天気いいけど、もう冬は始まっているね。

それとフィッシングはいつでもOKだよ。仕度ができたら声をかけてくれ。このアレンがガイドするから 」とゴードン。

その1時間後から早速、フィッシングはスタートした。



                          *ガイドのアレン








ロッジ前の入り江の桟橋からエンジンボートに乗り、広い湖へと出る。

カナダでは小さな湖ではあるが、ガイドのアレンいわく南北に細長いダンカンレイクの全長は約28km。

その日の夕食の際に判明しのだが、ロッジの客は私一人だけ!

そしてここではこのロッジに滞在する人しか釣り人はいないので広大なダンカンレイクを4日間独り占めで

釣りをするという、何とも贅沢で幸せな時間を過ごすことになったのである。



                         *滞在した2階の部屋の入口



                     *部屋の中は、3つのベッドがあった。ゆったりと一人でくつろいだ


釣りのほうはというと。。。

スタート時にアレンがトローリングのセッティングをして、ゆっくりボートを走らせていく。10分ほど経過したが、

あたりはない。そこで私が、「 キャスティングでやりたいんだ。どうだろうか? 」とたずねると

「 レイクトラウトはトローリングがいい。パイクはキャスティングだけどね。でもキャスティングがいいなら、それもOKだよ 」

と。ならばキャスティングに向いているところに釣れていって欲しいとお願いする。

ボートは猛スピードでそのポイントへと移動した。




最初のポイントは、ある湖岸の岸際だった。岸から30mほど沖にボートをとめて岸に向かってキャストする。

岸からボート手前のかけあがりまでは、水深1~2mくらいの浅場だ。

アレンが 「シャロー! シャロー! レイクは浅場にいるんだ 」と言う。

こんな表層にレイクトラウトがいるのか?ボトムから引っ張り出すような釣りをイメージしていただけに頭の中は

疑問符???でいっぱい。 ところが、、、

わずか3投目。グァ~ンっという重いあたりがありヒット!やはりイワナ独特の底へとぐいぐいと引っ張っていくファイトだ。

ボートの前後左右を走り回った末にキャッチした初のレイクトラウトは72cmの雄。




その後様々なポイントへ移動して釣りをすることになるのだが、すべて浅場だった。

湖岸際や湖の中でも小島や下の写真のような大岩の周辺、また水面下にある山の山頂にあたる台地などなど。




初めて見るレイクトラウトの魚体の美しさにまず驚いたのだった。こんなに美しい魚だったのか!と。

しかも、その後に釣れる魚たちは一尾一尾微妙に色が異なり、濃い緑や黄や橙、または白銀などバリエーションも多様なのだった。













また、いきなり70cmオーバーが釣れたことにも驚いたが、その後もとにかくルアーに反応がいいことにさらに驚くことに。

( ほとんどが60cm前後の魚が中心で、最大サイズは冒頭の写真の88cmだった )

どれだけ反応がいいかだが、いいポイントでは1キャスト1ヒットが何度も続いたり、キャストしたルアーが湖面に着水

するとほぼ同時に食いついてきたり。あるときは、ルアーを3尾の魚が追いかけてきた。

1尾目がチェイスしてかすり、2尾目もチェイスしてかすり、3尾目がチェイスしてヒット!なんてこともあった。

それはボート際の一瞬の出来事だったのだがはっきりと目に見えたことは実にエキサイティングだった。












                          *パイクも2尾釣れた


ただし、唯一ぱったりとあたりが無くなった時間帯があった。毎日晴天が続く中で雨が降り、風が吹いた

2日目の夕方5時半ころのことだ。先述の88cmはそんな悪天候下で釣れたのだった。

おそらく60cm前後の若い魚たちが天気の急変にびびって深場へと移動する中でその魚は浅場を悠然と

泳いでいたのではないかと想像する 。



                         *霜が降りた、ある朝。船着き場の風景



                    *釣りを終えてロッジに帰る。船着き場の向こうにロッジの裏側が見える



                      *ロッジの庭の岩に飾られていた、カリブー( トナカイ )の角


初日の釣りを終えて、びっくりするほどに釣れるのは嬉しいがその疲労度も半端ない。

2日目からは、午前は9~12時、ランチ&休憩後に午後は3~6時をフィッシングタイムと決めることにした。

それぐらいゆったりしたほうが調度いいと思ったから。

ボートでの移動時間もあるので、実質的な釣りの時間は午前2時間・午後2時間の1日合計4時間くらい。

それでも4日間でキャッチしたレイクトラウトは100尾を超えたのだった。



                *アレンが1日に2~3尾のうまそうなレイクトラウトをキープ。湖岸でさばいてくれた






                        *日々、ディナーでレイクトラウトの料理が登場



                         *自家製のポテトチップスをいただく


何日目だったかは忘れたが、夕方5時ころにあまりに数が釣れるので飽きてきて、

アレンに「 ロッジに帰ってディナーにしないか? 」と私が言うと、「 だめだ。もっと釣れよ。モア・フィッシュ! 」と言う。

そうだな~ こんなに恵まれた釣りなんてそうはできないよな~割り切って釣りまくればいいか!と

気持ちを切り替えて続行。がんがん釣りまくった。するとアレンは終いには、笑いだして叫んだ。

「 お前は、ジャパニーズ・フィッシング・マシーンだ! 」と。

ふざけるな!お前が釣れって言ったから釣っているのではないか( 笑 )。と心の中でつぶやいたのだった。

<追記>

オーロラについて。

今回現地に行って初めて知ったのだが、アラスカのフェアバンクスと並んで、カナダのイエローナイフは

オーロラが見られることで有名だそう。9月はいいシーズンだったようで夜には満点の星が見える晴天の中、

幸運にもオーロラも見ることができた。よく写真で見るような白いカーテンが揺れるような動きをしながら

緑や紫の淡い光を放つというパターンもあるが、そのパターンは様々。

あるときは、ロッジから見えるダンカンレイクの岸の向こうの地平線から2本の白い帯が立ち上がった。

その2本の帯がぐんぐんと夜空に伸びていく。

そして夜空の真上を通り過ぎて、180度反対の地平線へとつながっていったのだ。

圧巻の大自然のエンタテインメントに感激した。

ルアーについて。

深場から誘い出す釣りを想定していたので、普段国内では滅多に使わない18~30gのスライドスプーンや

メタルジグも持参していたのだが、一切出番はなかった。

シャローの釣りで風もない好天で波もほとんど無かったために7~14g( メインは10g )のノーマルなスプーンが

今回9月の状況に最適だった。気温・水温がおそらく高まるであろう7~8月はやや魚は深場に移動するのかもしれない。

ちなみロッジは6~9月の4カ月オープンするが、釣りには6月と9月がベストとのこと。ご参考まで。

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