vol.17 極北レイクトラウトは爆弾エピソードつき!?

2016年04月02日

2016年04月02日 17:40

今回のゲストは、ベイトロッド専門メーカー「fishman( * )」の赤塚さん( 北海道在住:以下、Aさん )です。

カナダ北極圏のレイクトラウトやアークティックチャー、アラスカのキングサーモンなどなど。

たっぷりとお話を伺いました。

:赤塚さんは、海外釣り旅専門旅行会社のトラウトアンドキングの夷谷さんにご紹介いただきました。ありがとうございました。

*「fishman」さんのWEBサイトはこちら!→ https://www.fish-man.com/



                                                                                              * 極北カナダ・レイクトラウト


インタビュアー:工藤( 以下、K )              2016年1月28日

K:

今日はフィッシングショーの準備でお忙しい中、お時間をつくっていただいて恐縮です。

赤塚さんのように、釣り具の開発や製造・販売をされている言わば、仕事と釣りが直結している方を

インタビューするのは初めてなんですね。

ただ、仕事の話というよりも、一人の釣り人としてどんな海外の釣り旅をされているかということに

ついて主に伺いたいと思っていまして。直近では、カナダのレイクトラウトの釣りをブログで拝見

しまして、私個人的にはすごく興味が湧きました。その他、赤塚さんご自身の印象に残った

釣り旅についても自由にお話を聞かせていただければと思います。よろしくお願いします。

Aさん:

了解しました。

ところで、工藤さんのサイトでは、どのインタビュー記事にアクセスが多いとかわかるんでしょうか?

K:

わかりますよ。特に、淡水のいわゆる怪魚系の釣りは人気がありますね。

また、サーモンやトラウトも根強いファンがいるのも実感します。

Aさん:

なるほど。

私のお客さんでは、特に若い人ではアマゾンの釣りなど怪魚系の方が多くてサケマス系の方って

いないんですよね。もっと行けばいいんじゃないって思うんですね。

パプアニューギニアとかアジアのトーマンとかも、もちろん面白いんですけど。

ロケーションが最高過ぎるし、カナダとかアラスカは。

K:

そうですよね~

Aさん:

で、流れの中の釣りって面白いじゃないですか。

K:

面白いですよね。川の流れの中での釣りは。

Aさん:

そうですよね。僕は気が多いから全部やっちゃうんですけど。前回の怪魚マガジンで声がかかって。

サケマス系メインでどんなルアーでとかいう釣りの記事を送らせてもらったんですよね。

そうですね~ 何から話せばいいですかね~ そうそう、レイクトラウトの爆弾エピソードがあって。

これは、誰が聞いてもぶっ飛ぶんですが( 笑 )。その辺からかな~

K:

お~ 聞きたいですね~ でも、ちょっともったいないから、その話は後半ですかね( 笑 )。

そもそも何で釣りをって言う話からでもいいですよ。

Aさん:

そもそもはですね。ロッドなんですよ。ロッドありき、なんです。

ルアーを放り込みたいところに、放り込めるロッドが欲しかったという。

もともと東京生まれの東京育ちだったんですけど。31歳の夏休みに2週間くらい、

北海道旅行に行ったんですよ。そのころ移住先を探していたんですね。

K:

へぇ~ 移住しようと思っていたんですか?

Aさん:

はい。仙台とか、沖縄とか。北海道、グアム、ハワイとか。考えていて。CGの仕事をしていて、

ネットにつながる環境があれば動画を納品できる。それまで、都内でやっていたわけですが、

これどこでもいいなって思って。

で、北海道へ行くとよく釣れるし。楽しいなって。もともと渓魚が好きだったんだけど東京にいると、

どこに行くにも遠いじゃないですか。小学校のときとか、諦めざるを得ないですよね。

それで、バスとか。ライギョ、ナマズとかで。お茶を濁していたわけじゃないですが、

それはそれで楽しくやっていたんですけど。

K:

で、30歳を超えた大人になって、北海道に旅行して目覚めたという?

Aさん:

そうですね。行ってみたら、面白かったので。

2001年の8月に旅行して、その年の11月には移住していましたね。

K:

ははは~ はや~ すごいですね! その決断力と行動力!

Aさん:

そっから、渓流道に入っていくわけですが。スピニングロッドの5フィートくらいで、3~4cmのミノーを

打っていくんですけど。北海道の川に限ったことではないですが。アウトサイドにはレイダウンとか、

ストラクチャーが満載じゃないですか。これは、完全にベイトだろう。ベイトタックルの方が有利だろうなと

思いまして。すぐに、当時ブルーギル狙いのような1/16OZ~1/8OZのルアーを投げられるベイトロッドを

買いまくりまして。1年で11本くらい買ったかな。

で、いろいろ試して。でもどれも専用じゃないので、60点くらいな感じで。それをあるときにフライマンに

相談したら、「だったら、作っちゃえば」って言われまして。フライマンって、ビルディングとかするじゃない

ですか。ルアーマンはあんまりしないですよね、ルアーは作るけど。

作るっていう概念がなかったので。はぁ~って、思ったんですね。

K:

そうですね。ロッドを自作するなんていうのは、思ってもみないことですよね。

Aさん:

そう、できるんだ!ロッドって。だけど、テイクバックでここまで入って、戻りのスピードを操作した

いんだよね~って話していて。「だったら、削れば」って言われて、削るって何?みたいな、知らないから。

そして、「グラスマテリアルのソリッドなら好きなように削れるから、いいんじゃない」っていう

アドバイスももらって。そこから始めて、ものの1年くらいで最初のロッドが完成しました。

K:

へぇ~ すごい!

Aさん:

そっから、さらにブラッシュアップさせていって。1~2年経った2003~2004年には

割といいものが出来上がっていたんですね。スモールプラグが低弾ライナーで、すごい伸びで。

オーバーハングとかの下を通っていく。下3mくらいの伸びがあるっていう。

K:

えー!!

Aさん:

例えば川幅30mあって、極端な話ですが、オーバーハングが15mあったとします。

でも、一番30m奥の際に打ちたいとしたら、初速はすごい出しながら木の下を通しますよね。

その奥が見えないところで、すごいスピードでミノーが走っているのにスピニングでサミングするのと、

ベイトでサミングするのとどっちがやりやすいと思います?

K:

なるほど~ ちょっと言葉で説明しにくいですが分かりますね。

Aさん:

サミングが遅れるとルアーをロストするわけですよ。つまり、回収不能になる。

ロストはしたくないから。そして、合理的に釣りがしたいなと。っていう感じなんですよね。

K:

そのセンスって、ご自身でCGの制作をされていたということもあってか、

ある種マニアックな理系的な発想というか。面白いですね。

Aさん:

かも、ですね。とにかく自分が打ちたいポイントに入らないというのが非常にストレスで。

できれば、20m離れていても15cmのスポットとかに入れたいという。

K:

ブッシュとかの下を3m通っていくとか、すごいですよね。

Aさん:

そう、そのためには山なりじゃだめで、ライナーで入っていかないと。で、シュートしたときのパームの

カタチのまんま親指で止めるだけで、すぐそれができちゃう。また、ハンドルを巻き始めれば、

すぐにワンピッチ加えられるんですよね。持ちかえることもなく。これが非常に合理的なんですね。

でも、なぜ、みんなやらないかって言うと。バックラッシュとか。

K:

そうなんですよね~ 最初にそれで懲りちゃう( 笑 )。

Aさん:

そう、いろいろ問題があるわけですよね。そこで、バックラッシュしないようなロッドを作ろうと。

その方が僕にもストレスがかからないから。で、そういうロッドができたんですね。

それで、できたロッドの釣りが「面白いよ」って伝えるためにピンに入れる動画を制作しようと。

そして、最大ノーカットで5回連続打つような動画をネットに上げていたんですよね。

K:

へぇ~ 編集してないよっていう( 笑 )。面白いな~!

Aさん:

そうしたら・・・そのYou tubeの動画を見た全国のストレスを感じていた釣り人達から

「そのロッドはどこで売ってますか?」と。いや、どこにも売ってないよ。

僕が勝手に作って、勝手に遊んでいるだけだからって言ったら、「売ってくれ」と、来たわけですよ。

K:

いい話だな~

Aさん:

え、そんな人いるんだ!?と。ただ、その釣りをやってもらうだけで楽しかったので。

すごく薄利で、卸しまくったんですね。それを始めたのが2004年ちょっと前くらいからで。

で、これがなぜか瞬く間にオーダーがたまってきて。本業はまだ映像系の仕事とかやっていたから。

K:

ほ~ 並行してやられていたんですね?

Aさん:

はい。全然やっています。本業はそっちですから。生活の足しにもならないレベルで。あくまで趣味として。

ハンドメイドなので、月産5本くらいしか作れませんでしたし。でも、それを超えるオーダーが来るように

なったんですね。あれよあれよと言っている間に、半年待ちとか1年待ちとかになって。

それでも、量産メーカーというアタマは微塵もなくて。それをやっているだけで楽しくて。

そんな感じでロッドを作りつつ、あるときから、釣り具業界の人とイベントを北海道で開催していたんですね。

約10回、10年連続で。北海道にはフィッシングショーは無いんですけど。

プチ・フィッシングショー的なことができたら、面白いだろうな~っていう仲間内との相談で。

いろんなメーカーさんとかが20社くらい来てくれるようになってきまして。

そのときに僕もハンドメイドでロッドやっていますっていうブースを出して。ローカルの自分らの友人に

売ってもらったり。そしたら、その中の出展していたメーカーさんが「量産しない?」っていう

ことになりまして。2012年のことなんですが。

K:

割と最近のことなんですね。

Aさん:

はい。約10年間、ハンドメイドでやっていて。北海道の渓流とかで自分もそのロッドで釣りをしていた

わけですが最大級どれだけ耐えられるかを知りたくなってきて。そこで、海外につながっていくんですね。

K:

お~ なるほど! いよいよ、自分の作ったロッドで海外へと打って出ていくという。

わくわくしますね~ 国内での大物も限界ありますものね。

Aさん:

北海道で獲れる最大級の魚は、そこそこ獲ったんですね。イトウなら1mオーバーとか、

ニジマスなら60cmオーバーとか。アメマスも70cmオーバーとか、その辺はやって。

それに合うようなラインナップも徐々に増えていって。で、あるときに2012年か2013年だったかな?

イトウの1mオーバーを獲れたロッドで、キングサーモンを釣ってみたいな~と。で、アラスカに行くわけですよ。





                            * 上2つの写真は、北海道・イトウ          



                      * 北海道・釧路川のアメマス釣り


K:

へぇ~ そういうストーリーなんですね。

Aさん:

はい。激流の中の50lb( 約23kg )とかだったら、破断するのかな~、とか。そんな興味、好奇心からですね。

うちのロッドって、すごくよく曲がるんですよ。でも収束が早い。例えば、フライロッドではパラボリックの

ほうが投げやすいじゃないですか。

うちのロッドは、前にべろろ~んと曲がるくせに後ろに返らずにピタっと止まるんですね。

渓流のベイトでもテイクバックで、すごいスモール・ルアーをバックハンドで投げるときにも曲がっていくのに、

ピタっと止まる。そこの延長戦上にルアーは当然行きますから、なぜこんなにピンに入るのっていう

感じになるんですね。どんな魚でもピンに入りさえすれば、出る確率は高いので。

で、いろいろと試したくなってくるんですね。

K:

そのトライの海外一発目がキングサーモンという。アラスカでは、結果はどうだったのでしょうか?

Aさん:

ラッキーなことに出ちゃうんですね。50lbクラスが。



                        * アラスカ・キングサーモンとファイト



                       * アラスカ・キングサーモン


K:

ははは~ 痛快ですね! 赤塚さんは、釣り人として" 持っている "人なんじゃないですか。

出る、出ないは必ずしもロッドの高性能のお陰ばかりじゃないでしょうから。

Aさん:

でも、ちぎられたのは2~3発はありましたけどね。ラインが全部出ちゃったという。。。

K:

すさまじいですね!でも、ロッドは耐えられたっていうことですよね?

Aさん:

はい。耐えられましたね。で、8分間ノーカットでランディングまでの動画( * )が撮れたんですよ。

スプーンの40、50gがボトム取れないような激流で。そこで寄せれたベリーからの曲がりが一部始終

撮られていて。それで、そのロッドが完売したわけです。

* 動画はこちらへ→ https://www.youtube.com/watch?v=2iKRm3ScuDU

K:

へぇ~ これもまた痛快で、面白い!

Aさん:

いろんな番手を作っていくうちに、ある程度日本でのテストがシーバスとか北海道の魚とか、

1m近いのが獲れた。そのダメ押しで、そのロッドのポテンシャルを知るために海外に行くわけですよね。

ピーコックバスでやってみる、バラマンディでやってみる・・とかいろいろ。

きっと、その~ 原稿的には、その中で面白かったのはあそこみたいな流れになっていく感じが

いいんですよね?

K:

ははは~ 別に場所の情報だけにこだわっているのではありませんが

こういう面白い釣り旅ができたっていうあたりですよね。

Aさん:

そもそも、僕は旅が大好きで。小学校のころ、関東平野のど真ん中の葛飾区っていうところにいたので

どこに行くのにも遠いんですね。山に行くのにまず100kmなんですよ、北に行っても西に行っても。

行きたくて計画を立てたんですが、小学生の機動力というとチャリンコしかない。

で、リアバックの右左には何々を入れて、荷台にはテントとシュラフを積んでとか。

タックルは何を持っていってとか。計画するわけです。1日目は何km走ってというスケジュール帳ような

ものも書いて。地図を見て・・・そんな感じで、当時で、ほとんどの峠はチャリンコで登ったと思いますね。

K:

すごいな~ その行動力と合理的思考は小学生のころから発揮されていた( 笑 )。

Aさん:

ははは~ そうですね。それで当時は、コンビニが無いからメシに困るんですね。

ルアー、テンカラ、フライの3セットのタックルで何とか食事をゲットして。オイカワ、ハヤとか。

本当は渓魚が食べたいんだけど。ほとんど食うのは、オイカワ、ハヤ、ナマズ( 笑 )。

K:

小学生のころから、ルアー、テンカラ、フライをすべてやっているっていうのがすごいですよね。

Aさん:

やってましたね。練習は近所の水元公園というところでターゲットはライギョとかナマズなんですけど。

当時、釣り専門誌の「つり人」に日光・湯川のブルックトラウトの記事が載っていて。

行きましたね、チャリンコで。

K:

え、え~ うそ~ ははは~

Aさん:

イロハ坂超えて、中禅寺湖を超えて・・・

K:

半端ないですね、そのとき何歳ですか?

Aさん:

12歳とか。

K:

へぇー 自転車ですよね。まるで鉄人ですね( 笑 )。

それと、お聞きしている子どものころの話は、今に何かつながっている気がしますね。

Aさん:

そうですね。ロッドのテストとか、かこつけているけど旅が好きなんですね。楽しくて。

大体、信じられないようなことが起きるのも面白いし。

チャリンコの旅でもそうですよ。腹減った、食うものがない。何とかしないといけないとか。

お腹痛い、でもトイレがないとか。お金が無いから、泊まるのはもっぱら神社だったり。

それと、家からはゼロ円で出発する旅なんですよね。米と飯盒だけ持って。あと固形燃料と塩。

それ以外は持っていかないで、後は現地で釣る以外ない( 笑 )。

K:

ははは~ 日本にいながらサバイバルですね。

Aさん:

そんなつもりはないんだけど。環境がそうだっただけで。

今も同じような感じで、ロッドメーカーになるのも夢でも何でもなくて。欲も無いし。流れで。

で、量産してみたらって言われたときも、もうバックオーダーが結構あって。いきなり、それが卸せて。

そのまま流れていってという感じで。

子どものころも、同じような自然な流れで・・・つり人社がいけないんですよ( 笑 )。

K:

ははは~

ところで、子どものころって、誰かに影響を受けたのでしょうか。

小学生がフライだ、ルアーだって、どうやって学んだんですか?

Aさん:

魚神( ぎょしん )さんが先生でしたね。「釣りキチ三平」の。兄貴もいないし、親父もそこまでやらなかったし。

一人で試行錯誤して。でも、面白かったですよ、すごく。その延長線上が今って感じでしょうかね。

K:

なるほど。ちょっと話は変わりますが、ロッドのテストを兼ねての海外釣り旅ということですが、

私は世代もあると思いますが、やはり開高健さんの影響が大きかったんですね。

Aさん:

私もかぶってますよ。「 オーパ、オーパ!! 」とか、「 フィッシュ・オン 」とか。

あの当時、買っているんですよ。でも、文章が全然、意味分かんなくて( 笑 )。

ただ、写真が多かったじゃないですか。オヒョウが扉の上で捌かれてたり、

キングサーモンを背中にしょっていたりとか。ていうのがあって。

実は、キングに初挑戦したときは、アンバサダーの7000でやっているんですよ。

K:

へぇ~ 開高さんへのリスペクトのような気持ちでしょうか?

Aさん:

そう、これでやりたかった!っていう。だから、ちょっと工藤さんとは年代は違うけど、

プレイボーイとかで連載していたころとリンクはしていないけど。やっぱり、水曜イレブンとかで

服部名人とかも見ていましたし。うん、時代背景としても「釣りキチ三平」もやってたし。

K:

あと共通するのは、私も釣りの先生がいない。周囲に釣りをしている人もいない。

結局、数少ない雑誌や地味な教則本をむさぼるように読んで。

あーでもない、こーでもないと一人で試行錯誤してましたね。

Aさん:

私もまわりに渓流でヤマメを釣ってみたいなんていう人は誰もいなかったから。最初は釣れませんでしたね。

持っていけるっていったって、当時、上州屋の正月のセールで100円でスプーンを売っていて。

朝並んで買うくらいで。それを持って釣りに行っているくらいですから。

バスの流れも来てはいたけど、売っているのはジッターバグだったり、プラポッパーだったり、

アンバサダーだったりで。高くて買えないんですよね。

ところで、工藤さん。

コンパクトに話そうと思ったんですが、いろいろ話が拡散してしまっていますが、

このインタビュー、大丈夫ですかね?( 笑 )。

K:

ははは~ 何の問題もありませんよ( 笑 )。では、話を海外釣り旅のほうへ少しシフトしましょうか。

海外で釣りするというと、まだ経験していない人にとっては時間もお金もかかるだろうという印象が

あると思うんですね。行きたくても、ちょっと躊躇していたり。

Aさん:

そうですね。でも、僕の友人とか、メーカーやっている人とか周囲を見ていると行く人も増えてきて

いますしね。入口としては、アジアとか。10万円ちょっとでトーマンが釣れるし。

K:

トーマンって、どんな魚なんですか?

Aさん:

ライギョですね。そこでは、ネィティブな魚で。ライギョだけど回遊性が高くて、めちゃめちゃ引くんですね。

半端じゃないですよ。タイとか、マレーシアで私は釣ったんですが、ベトナムとかミヤンマーとか

あの辺では、どこでもいるんじゃないでしょうか。

向こうは、昭和40年、50年の日本風なので地元の漁師とかがあそこに魚がいるんだって言って、

一網打尽に網で獲って空っぽにしちゃう。で、バンコクから行くんだけど、1時間で釣れていたのが

3時間行かないと釣れなくなるとか。

K:

段々とそうなっちゃうんでしょうね。

Aさん:

はい。でも、釣れるところを探して、遠くに行くのも旅だし。

時間とお金に余裕ある人は、さらに遠くへと行けばいいんじゃないでしょうかね。

僕は、今は遠くへも行ける環境なので、いろいろと遠方にも出かけているわけですが。

極北のカナダのレイクトラウトの釣りなんて、乗り継ぎが良くないという次元じゃなくて。

1日1便しかないから。乗り継ぎ先で泊まんないといけない。

だから、レイクトラウトやアークティックチャーを釣るのに3日半かかるんですね。

ブラジルより遠い( 笑 )。距離的には近いんだけど。

K:

グレートベアレイクでしたよね。大きい湖なんですよね?



                      * 極北カナダ・グレートベアレイクは巨大な水瓶


Aさん:

はい、巨大過ぎますね。面積が北海道くらいあるんですよ。琵琶湖の550倍!という。

K:

へぇ~ !

Aさん:

対岸に行くのに飛行機じゃないと行けないんですよ。そんなところに行ってみたいなと。

北極圏に行ったなんて、単純に面白いそうじゃないですか。あんまり誰も行かないんで。

レイクトラウトはサブで、実は本命はアークティックチャーだったんです。

イワナなんですけど、降海型で海アメ( アメマス )みたいなもんですね。

奴らって、水温が下がれば下がるほど身が赤くなる。おそらくピンクの斑点は身の色なんですね。

で、北海道のアメマスがホワイトスポット( 白い斑点 )なのは、身が白いからなのかな~と。

水温が温かいからなのかなと思うんですね。

(アークティックチャーの写真、記事後半に掲載されています!乞うご期待!)

K:

写真では見たことがありますが、鮮やかな紅がすごいですよね。

Aさん:

そうなんですよ。ピンクがそのうちに真っ赤なスポットに変わっていくんです。

腹とか、すべて。顔や鼻は黒くなって。なんか怪魚風な感じに見えて。

それに魅せられて、これはやってみたいな~と思って計画を立てたんですね。

行くのに遠くてびっくりしたのと。夏のイエローナイフで一泊っていったところで何にもないんですよ。

それに、たまたま乗り継ぎが日曜日だったもんだから、お店は全部閉まっているし。

何にもやることがないんだけど。

僕と同様にそこで一泊を余儀なくされている他の人たちもバズーカ( 釣竿の円筒形のケース )持っていた

から、みんな釣り師なんだろうな~って。

K:

ははは~ 

Aさん:

明日の同じ便なんだろうなと。そして、さらにイエローナイフからグレートベアレイクに向かうわけですが。

グレートベアレイクから、またさらにイヌイットの北極海に面している村に行くんですね。

そこからは、チャーターなので自分ではエアがとれない。エアカナダの圏外で。

で、7月の北極海はどんな気候なんだろうかとか。調べては行くわけですがこれが暑いんですね。

ただ、日が陰ったりすると寒いんですけど。



                        * 極北カナダ・北極海      


                       * 極北カナダ・アイスバーグ


K:

緯度が高いところって、アラスカとかも年によると思いますけど、猛暑の夏とかだと、

日中30℃くらいになってTシャツで釣りできたり。それが急に悪天候になって、雨風になると

寒くてダウンジャケット着たりとか。

A:

そうそう。

ちなみに、泊まったロッジは暖房はあるんですけど、寝るときはダウンがないと寝れない( 笑 )。

K:

ははは~

Aさん:

で、グレートベアレイクでレイクトラウトをやることになるわけですが、

現地では、基本はトローリング文化なんですね。でも、うちはキャスティングロッドしかやってないから、

キャスティングで釣ろうと。

K:

そりゃあ、キャスティングで釣るほうが面白いですよね。

ところで、そんな広大の湖だとレイクトラウトのポイントとかはどのように見極めるのでしょうか?

Aさん:

狙いは簡単なんですね。ブレイクがあって。岸沿いにももちろんあるんですが

湖にはリーフがた~くさんあるんですね。そのリーフのアウトサイド側に立って、

リーフの浅瀬にルアーを打っていくんですね。

沖合いのリーフの一番浅いところでは、もう5~6フィートまでせり上がってますね。

なんぼでも打てるくらい、たくさんのリーフがあって。広大なんですね。

ミノーの140mmぐらいが基本でしたが、打っていって、トゥイッチかけて。

で、そもそもレイクトラウトって、どうやって釣ったらいいんだっていうところがあって。

現地の方がいろいろ教えてくれるじゃないですか。でも、それつまんなそうだなって。

K:

ありますね~ 彼らなりの、それがヒットパターンなんだけど、面白くなかったり。

意外にそれ以外の釣り方のほうが釣れることもあったりしますよね。

Aさん:

そうですね、そもそもルアーが違うから。で、まあ、いいから、いいからって・・・

K:

俺に " やらしてみ " って( 笑 )。

Aさん:

そうそう、ははは~

僕はそういうことを、しゃーしゃーと言っても現場で怒られないタイプなんですね( 笑 )。

じゃあ、やってみろっていうことで。140mmミノーを投げて、サーフェスをすごい早いトゥイッチかけて。

レイクトラウトの釣りでは考えにくいじゃないですか。これが入れ食ったんですね。



                       * 極北カナダ・レイクトラウト



                             * こちらは、極北カナダ・パイク


K:

へぇ~ それだけアクティブっていうか。

Aさん:

う~ん。それこそ20フィートくらいの湖の底が見えるくらいに水がクリアだから。

追っかけて来るのがすぐ見えて。

K:

それはエキサイティングですよね。

Aさん:

はい。筋肉痛になるくらい釣れて。

K:

ははは~ それぐらい、魚もいて魚影が濃いってことですよね。

Aさん:

そうそうそう。すごい、濃いですね。ただ、キャスティングだとランカー出ないよって言われて。

でも30lb( 約13kg強 )が出ちゃったんですよ。で、キャスティングで30lbはちょっとないね。

いいとここれがMAXだよっていう感じだったんですよ。



                       * 極北カナダ・レイクトラウト


K:

十分でかいですものね。

Aさん:

でね。グレートベアレイクって、6月まで氷でふさがっているんですね。

で、氷でふさがるくせに、奴らは氷が嫌いなんですって。

だから、とけてくると、とけたところから釣れ始めるんですって。

K:

なるほど。それも面白いですね~

Aさん:

だから、7月の前半がパラダイスだって言っていましたね。大きいのも、小さいのも一斉に寄ってくるので。

例えば、カディスとかがハッチし始めたら、そこで食いやすくなるわけで。

8月に入れば入るほど、氷が全部とけて自由に泳ぎ回れるのでモンスターはいわばディープに

行くわけですよ。だから、そこにはキャスティングでは到達しづらいと。

トローリングだったら、それこそ100mくらい流していけるから、どんどん潜行できるので、

ランカーがヒットする確率は高いという。そういう理屈なんですね。

ただ、キャスティングででかいのを獲るとしたら、氷が落ちかけたころだったら

まったく問題ないって言ってましたね。だから、今度行くときは、それもあるな~って。

K:

キャスティングで釣ることができる確率は、ぐっと高くなりそうですよね。

Aさん:

なんだけど。もう一つ、極北のグレートベアレイクで、旅心をくすぐるのは

8月の3週目くらいには、へたすると気温がマイナスになる。

K:

もう秋が訪れる?

Aさん:

いや、冬!

K:

ははは~ 夏、短いっすね~

Aさん:

なんと、オーロラが見られるんだって。8月で。

で、そのとき、まだレイクトラウトは釣りになるわけですよ。なんか、すごい体験じゃないですか。

K:

釣りはできるは、オーロラは見られるはで。

Aさん:

そうですよね。それと、ロッジのメシもすごいおいしかったので。

バーがあったんでカクテルも作ってくれて。基本的にはアメリカのセレブじゃないけど、

年配の方ばっかり来るようなところなんだけど。

K:

それは、まぁ時間もある富裕層しか来られないでしょうしね。

Aさん:

そう、高額ではあるけど。いや~、すっごい面白かったですね~。

K:

いいですね~

レイクトラウトは、湖、グレートベアレイクで。

アークティックチャーのほうは、降海型が遡上する川での釣りですよね?

Aさん:

そうですね。そこから、1時間くらい飛行機乗って、北極海を目指す。

面白いのは、道はないんだけど。河口には大概、民家があったんですね。1軒しかないんだけど。

K:

集落にもなっていない( 笑 )。

Aさん:

そうそう。で、イヌイットが住んでるわけなんですね。グリーンランドに比べれば、まだまだ南なんだけど、

イヌイットがどうやって線をつないでるのか、テレビもあって。

K:

そんな極北にまで!

Aさん:

で、テレビで地方の天候のニュースとかやっているんだけど。

「 あいつのところ、-60℃でやんの。俺らんところは、まだ-50℃で暖かいよな 」って。

言っているらしいんですよ。

K:

ははは~

Aさん:

ははは~ どっちも死ぬほど寒いけどねって感じなんだけど。

でもね、その-10℃の差がものすごい優越感を抱かせるらしく。

この辺は暖かいよ、いっても-40℃とか-50℃までだからみたいな。面白いな~、と。

K:

我々には、実感湧かないですものね。ところで、アークティックチャーの釣りは、どんな川なんでしょう?

よくアラスカとか、場所にもよりますが氷河を削って、ミルキーウォーターなんて

呼ばれるような濁りのある川もありますよね。

Aさん:

流程は長いと思うんですけど。でも氷河でもなく、すごいクリアなんですよ、水は。ジンクリアで。

だけど、すごい激流なんですね。アラスカで、日本で言えば洪水のようなレベルの流れに出合ったこと

があるんだけど、それをも超えた激流で。

K:

そこに魚がいると?

Aさん:

いると・・ だから、アークティックチャーって強いんですよ。すごく走って、ジャンプして。



                      * 極北カナダ・北極イワナ( アークティックチャー )


K:

ジャンプするんだ! イワナっぽくないですよね。

Aさん:

ええ。筋肉の質とか、アメマスと比べちゃいけないなって。本当に別物で。

あの流れを上って行くんですから。すごいですよね。

それと、アークティックチャーは、結論から言うと時期がもう1週間遅いほうがよかったんですって。

例年だと一番いいという7月末に行ったんですけどね。去年は1週遅れたわけですね。

K:

相手は自然なので、しょうがないですよね。サーモンも遡上のピークが年によって前後したりしますし。

Aさん:

はい。そうですよね。

そうそう、話はちょっと変わりますが。レイクトラウトをやる釣り人の中で、

足を延ばしてアークティックチャーを釣りに行く人って半分もいないんですね。

K:

へぇー、そこまで行っていて、もったいない! なぜでしょう?

Aさん:

どうしてかって言うと、施設があまり充実していなくって。まず、シャワーがない。

そんなわけで、あんまり行かない。

同じグループになった奴にも「 もう一泊しようよ 」って誘ったら、「やだ!」って断られるし。

K:

ははは~ その方は、もう十分だと( 笑 )。

Aさん:

僕の本来の目的はアークティックチャーだったのですが、それなりにいいサイズも釣れて。

80cmオーバーとかも出ましたし。面白かったな~、と。でも、最大になると、25lb( 約11kg強 )もいるので。

機会があれば、また行きたいと思っていますね。

で、そこから戻ってきて、またレイクトラウトをやるわけですよ。

いつものようにキャスティングでやっていて、また同じようなサイズか~ 80cmぐらいの。

K:

ははは~、贅沢な!

Aさん:

寄せてきて、水が透明だから、もろに見えるんですね。で、そいつを何者かが食ったんですね。

K:

え~ 80cmのレイクトラウトに食らいつくって!もっと大きなレイクトラウト? ですかね。

Aさん:

そう、もっと大きいレイクトラウトで。クリアでよく見えましたから。

80cmのレイクトラウトを丸飲みしようとしているって、すごいですよね。

誰も見たこともないシーンらしいんですね。ガイドのほうが興奮していましたから。

だけど、その80cmの魚の僕のフッキング状況なんですけど。

ボディにフッキングして、ルアーが外に出ている状態でそのルアーのテールフックがエラに

掛かっているという。その状態で引っ張ってきていた・・・それを飲み込んだんですね。

K:

まるでサメみたいですね。

Aさん:

で、そのビックなレイクトラウトなんですが、80cmのほっぺたのエラに掛かっている

フックには、かろうじて届いていなくて。

K:

お~ ぎりぎり、フッキングはしてない。惜しい~

Aさん:

フッキングしてないんだけど。でもファイトしたんですね。歯が鋭く、80cmのボディに食い込んでいて。

K:

へぇ~!!

Aさん:

ファイトとなったんですね~

ただ、あまりにも重過ぎて。推定で、35~40kg!そのやりとりをしている最中、ガイドは興奮しっぱなしで。

そんな光景を始めてみたし、キャッチしたらIGFAを塗り替えられると。

72lb( 約32kg強 )が世界記録で、どう見てもそれよりでかいと。

K:

お~ で、結末は?

Aさん:

ガイドに、まあ落ち着けよと( 笑 )。ただ、つかもうにも近くにいるんだけど、ちょっと深い。

船のへりから1m下の水面から、さらに2m下くらいで。

寄せつつも、強引にやったら抜けちゃうでしょ。フッキングしてないから。どうしよう?みたいな( 笑 )。

K:

ははは~

Aさん:

また、ぐーんと潜られたり。ぐぐぐっとひっぱられて、すさまじく重い、重い。

シャーって抜けちゃうといけないし、何とか獲りたいから。ゆ~っくり、ゆ~っくり寄せて。

船と並行したときの魚の長さの目測は、だいたい130cmくらいあるんですね。

これは、やっちゃったぞ!みたいな。

K:

すごいですよね~

Aさん:

たぶんファイト的には1分くらいですよ。いや、1分もしてないかな。

で、ガイドには、船にまた寄ってきたら、水平にさせてつかまえてくれと。

いくよって言って、ぐーってやったら、ぽーんって抜けたんですね。

その80cmをすぐにリリースして、逃げていったビッグをもう一度獲ろうとキャスティングして。

いろんなテクニックを駆使して。そうそう来るわけもなく・・・

その呪縛から、ガイドのほうが抜けられなくて。そのポイントで2時間くらい・・・

K:

ねばったという( 笑 )。

Aさん:

そうそう。でも、もう行っちゃったよ、どっかって( 笑 )。その出来事は、最終日だったんですよね。

K:

そうなんですか。

私には、そんなIGFAを塗り替えられるかというような大物に出会ったことは無いのですが。

それでも、そこそこのビッグサイズは、釣り旅の最終日とか、

その最終日のラスト1時間とかに来ることが多いんですよね。

Aさん:

ありますよね~

で、レイクトラウトは結構いいサイズを釣って。その写真を発表したりもしたんだけど。

あいつ、見ちゃったから。僕の中では、こんなベイビーな写真を貼って恥ずかしいみたいな。

K:

ははは~ 面白いです!

水を通して見ている、あのモンスターがまぶたに焼き付いている。

Aさん:

そうそうそう。止水のクリアなレイクだから、ハッキリ・クッキリですよ。無風、ほんと無風で。

あ~れは、すさまじかったな~。まあでも、そういうことが、ちょいちょいあるので。また、行くわけですね~

K:

旅に出るわけですね~

Aさん:

忘れ物を獲りにいくわけですね( 笑 )。

そうだな~ 後、トラウトで言うと過去のインタビューでフエゴ島の旅を記事にされていましたよね、

シートラウトで。同じところに僕も行きましたね。あれも遠いんですよ。南極まで、もう800kmですからね。



                       * フエゴ島・シーランブラウン


K:

南半球の最南端ですよね。

Aさん:

はい。で、あそこは偏西風がアンデスにあたる吹き降ろしで、爆風なんです。

常に安定して15~20mは吹いていますね。

K:

そうなんですね。その旅も、ロッドのテストを兼ねてなんですか?

Aさん:

ベイトロッドの長ものを出そうかなって思っていて。それのテストで行ったんです。

向かい風で、ベイトロッドで戦えるかなっていうテストで。それには打ってつけで。

北海道でも爆風だけど。まあ、強いな~っていっても15mくらいで。それでも強いんですけど。

向こうは、もう半端じゃなかったですね。

オシッコするじゃないですか。上に上がってくる( 笑 )。

K:

ははは~、風で?

Aさん:

そう。自分が盾となって、巻いて上にいく( 笑 )。

どこでやってもかかるみたいな。で、木が無い。平らで。



              * こちらは、ジュラシックレイクへ向かう途中の風景 ~ ジュラシックレイク目指して・道無き道を・永遠と



                    * ジュラシックレイク90cmオーバー・ニジマスがヒット



                       * 90cmジュラシックレイク・ニジマス


K

極北の地はいっしょですね。厳寒のために低い草木か苔しかないような生態系で。

いや~ 面白い話が満載ですね。ところで、今年2016年はどこか海外へ行かれる予定は

立てているのでしょうか? あるいは、今後はどんな魚を釣りたいですか?

Aさん:

アイスランドへアトランティックサーモンを釣りに行こうと思っていまして。

ブラウントラウトもいいのがいると聞いているんですが、ブラウンは北海道がすごいんですよ。

だから、アトランティック狙いで。それ以外は、ニジマスならスティールヘッドかな。

あとは、小さいけど、ブルックトラウトの降海型も釣ってみたいですね。

アルゼンチンのフエゴ島で、現地の釣り具屋に行ったときに写真が張っていて。

それが、すごい悪い顔をしていたんですね、ちょっと見たことがないような。釣ってみたいな~、と。

MAXで60cmなんですけど。それとレイクトラウトもいるんですよね。みんな、おかっぱりで釣っていて。

だいたい長いんですよ、110cmくらいで。それも、面白いかな。イトウにしか見えない感じで。

K:

レイクトラウトとイトウのあの原始的な顔つきは似ていますよね。

それぞれイワナ属とイトウ属で違うけど、サケ科の仲間としては、

ともに起源が古いので近いのかもしれませんね。

Aさん:

すごい、似てますね~  厳密には、全然似ていないんでしょうけど。

釣り味とか、ボートの上から見た水中でのシルエットとか。

本当に、イトウを釣っているみたいな感じでしたね。

そうそう、グレートベアレイクで面白い話がありまして。

ボートで20分も走ると、水温が4℃くらい違うんですよ。

さっきのところは身がオレンジだけど、ここのは赤いとか。違うんですね。

で、さっきのところは、フライがうまいけど、ここのは刺身がうまいという。

K:

へぇ~ それも面白いですね。レイクトラウトの刺身ね~ 食べたんですか?

Aさん:

はい。これが、すごくうまいんですよ。身の色は、真っ赤で。

K:

同じレイクトラウトで色が違うのは、食べているエサが違うんですかね?

Aさん:

いや、水温の違いなんですって。毎日、ランチは捌いて食べるんですね。

で、毎日違うエリアに行くので身の色が顕著に違うのがわかるんですよ。

おっしゃるように、食べているエビとかに依るのかと思っていましたけど

今まで勘違い、知らなかっただけのかな~、と。水温かもしれないって。

K:

なるほど~

Aさん:

現地の人は、「 ここは刺身で食っちゃいかん、うまくないから。刺身食いたいのか?じゃ、あっち行こう 」

って言い切るんですね。そこへ行くと水温は確かに低い。

K:

水温が低いほうが、身が赤くて刺身でうまいってことですね。

Aさん:

そうそう。で、ラッキーなことに、向こうのロッジにワサビがあって。

北極イワナ( アークティックチャーの和名 )とレイクトラウトの赤身とは、

ちょっと味の違いはあるんだけどどっちもすごくうまかったですね。

水が冷たくなるだけで、アメマス( 降海型のイワナ )はこんなにうまくなるのかと。びっくりしましたね。

K:

アークティックチャーも食べちゃったんですね( 笑 )。

Aさん:

はい。

ところで、話がサーモン系で終始しちゃっているけど。どうしましょうかね。

K:

ガイアナとかも行かれているし。この間、アマゾンとかも行かれていましたよね。



                       * ガイアナ・アロワナのポイント       



                               * アマゾン・ネグロ川


Aさん:

先月のアマゾンはすごかったですよ~ 乾期ではあるのですけど普通は雨は降りますからね。

それが、まったく降っていなくて。同じ場所に翌日行くと水位が、がくっと低くなっている。

気温40℃で無風なので。

で、僕らのマザーボートに7艇くらいの小船があって、2人ずつ乗るので計14人のパーティーなの

ですが、6日間で1400本以上のピーコックバスが釣れたようで。ガイドがカウントしているんですね。

K:

すごい数ですね、何それって感じです( 笑 )。

Aさん:

まあ、すごい釣れるんで。ロッドのテストとしては、最高でしたね。

ラッキーなことに8kgぐらいのも釣れて。あれは、やっぱり別物ですね。



                             * アマゾン・ピーコックバス


K:

ピーコックバスを釣られた方は、インタビューでみなさん、おっしゃいますね。

Aさん:

突っ込みとか、スピードとか。暴れっぷりとか。

ゲームフィッシュとしては、最高の魚の一つじゃないですかね。

例えば、マナウスからバルセロスっていうところに行って、その飛行場に

降りる人は100%ピーコックを釣りに来ている人なんですって。



                       * バルセロス空港・ほぼロッドケース持参・すべて釣り師


K:

ははは~

Aさん:

それ以外にやることがない。行く必要がない。

世界中からその飛行場に来る人は、みんなバズーカ持っている( 笑 )。

K:

めちゃめちゃバイトが派手だって、よく聞くのですが。

そして、始めてその釣りを体験したときは衝撃的だったと。

Aさん:

派手ですね~

奇声を上げたかったら、ピーコックに行けばいいんじゃないですかね。

すごい面白いし。あわよくば、でかいのが掛かるかもしれないし。

K:

よくバスフィッシングをされる方は、その延長線上のターゲットとして

ピーコックバスやバラマンディにチャレンジするっていうのは、よく聞きますね。

Aさん:

バスでフィネスとか、シーバスでドリフトとかの釣りをしている人。

これはね~ サケマスの釣りをやったら、もっと面白いのにね~って思いますね。

フィールドにいないから縁がないのでしょうけど。関東、関西、九州とかね。

シーバスのいいところはね。あのメソッドが全部通用するので。

本当に面白いし、もったいないな~、と。

遠いし、お金もかかるから。おじさんの雰囲気あるし、サケマス系はね。

開高健さんとかを見ていた年代が今40、50、60代が多いっていうのもあるじゃないですか。

K:

なるほど。若い人からするとサケマス系っておじさんっぽいわけですね。

それは、新たな発見です。おじさんとしては( 笑 )。

Aさん:

でも、もったいないね~って。思いますね。

バラマンディも面白いけど、俺はキングサーモンのほうが面白いもんな~ あの流れですもん。

バラマンディの1mは1分かからないでも上げられるけど、キングサーモンの1mは、

どう考えても5分以上はかかる。

K:

そうですね~ 

バラマンディはやったことがないので分からないのですが、

確かにキングサーモンがタフなのはよくわかりますね。

( *ここでしばし沈黙の間があって・・・・・)

Aさん:

あの~ あの~ すみません!!!

K:

え、え、何でしょう~???

Aさん:

大丈夫ですかね~ だめですよね? このインタビュー( 笑 )。何をどうしましょうかね~ 困りましたね~

K:

ははは~、全然大丈夫ですよ( 笑 )。

みなさんにお聞きしているのは、そもそもの釣りとの出会いは?

それと、海外へ釣りに行くきっかは?そして、今までどんな海外釣り旅を経験されてきたのか?

の3つなんですね。あとは、話の流れとして、どこから入るかの違いだけなので。

釣り人にはみんな、それぞれオリジナルのストーリーがあるので。そこが面白いんですね。

Aさん:

じゃあ、ネタ的には押さえられたみたいな。

K:

十分に押さえられました。ご安心ください( 笑 )。

Aさん:

ネタはまだまだありますよ。まだ1割くらいしか話していませんから。

K:

いやいや十分です。お腹いっぱいです( 笑 )。

本日は、お忙しいところ本当にありがとうございました!!

<編集後記>

自分が欲しいベイトロッドを手作りし、それがやがて量産モデルに。

赤塚さんの釣りへの情熱が、自然とビジネスにもなっていく。

そして、そのロッドをテストするために、世界各地を釣り歩く旅へという

オリジナリティあふれる現実のストーリー。

軸が明快なライフワークを生きている方の話は、本当に面白いですね。

今年フルモデルチェンジして、2g以下のルアーを、水面を這うようにライナーで打てて、

ハングの下に入れられるベイトロッドを作られたそうです( Beams sierra 5.2UL )。

素材はフル・カーボン。渓流釣りの機動力を発揮するために3ピース( 3本継ぎ )の設計。

大人気で売れ行き絶好調とのこと。

ご興味のある方は、ぜひfishmanさんのWEBサイトをご覧ください。


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