vol.19 私を赤いピーコック釣りに連れてって!
2016年09月03日 17:00
今回は、日野さん( 東京都在住:以下、Hさん )にブラジルやモンゴルの旅についてお話を伺いました。
いつもは街中のカフェでインタビューという場合が多いのですが、日野さんが仕事をされている「冒険用品」というお店におじゃまをしました。
*日野さんは、vol.18のゲスト・小西さんにご紹介いただきました。ありがとうございました。
インタビュアー 工藤( 以下、K ) 2016.7.5
* レッドピーコックを捕獲!
K:
本日はよろしくお願いします。
ルアーやアウトドア用品の並ぶお店の中でのインタビューというのは初めてのケースで新鮮です。ありがとうございます!
ところで、こちらで働いてどれくらいなのでしょう?
Hさん:
今年からなんですね。もともとは九州出身なのですが就職で愛知県へ行って。刈谷市で仕事9年、サラリーマンやっていたのですが、
色々あって長く続けたその仕事を辞めることになって。
そもそも旅に出ようと思ったのは、仲が良かった会社の先輩が事故で亡くなったことがきっかけでした。
彼が亡くなった年齢が当時29歳の時でした。僕が会社を辞めたのが27歳の時。
29歳までの二年間で、「 彼にできなかったことをしたい。濃い人生にしたい。死ぬわけではないけれど、死ぬ気で生きてみよう 」
そう思ったのがきっかけでした。若気の至りですね( 笑 )。
それで「 まだ20代だ 」ということを言い訳に旅に出たわけですが、勢いで辞めたのはいいけれどその街に居づらくなって。
知り合いだらけなので、ぶらぶらして旅にでも出ようものなら帰国したときに「 何やっているの? 」っていうことになるので。
で、気兼ねなく旅に出られる別の拠点が欲しくて、どこでもいいから全然知らない土地のほうが都合いいなと思って、
三重県の鈴鹿へ引っ越しして。
2年ほどぶらぶらして旅に出て帰国して、また旅に出たりと繰り返してました。
その後、旅の資金も尽きたので旅を一旦終了して、某大手アウトドア用品店で働くことになって。
で、1年くらい働いていたら正社員のお誘いがあり、一方、水口さんのほうからもうちで一緒に働かないかというお誘いがあり、
どうしようっかな~って。そのアウトドア用品店は大きな会社ですし、正直すごく迷ったのですが、こ
ちらのほうが面白いかなと思いまして。アルバイトを入れても数名の会社ですが、「 冒険用品 」に決めて。
今年に八王子界隈に引っ越してきたというわけでして。
K:
そういうことなんですね。今日は、その2年ほどぶらぶらされていたころの旅の話をぜひお願いできればと。
初めてのときの話でもいいですし、その中で印象に一番残っている旅でもいいですし。
Hさん:
海外の旅は、最後が4ヶ月のブラジルの旅なんですけど、それまで何度も行きましたけど一番長かったし、自分としてはインパクトもあって
よかったな~って。国もいいし、人も温かいし。魚は多いし。あのラテンの空気感もいいですしね。
他もいろいろと楽しかったのですが、その最後のブラジルの印象があまりに強くとびぬけてよかったので他の印象が
薄れてしまっている感じなんですね。
ニュージーランドもオーストラリアも、モンゴルとかもよかったんですけど。
K:
なるほど~ 4ヶ月って長いですよね。どんな旅なんでしょう? 旅のプランとか、ある程度事前に立てたりとかするんでしょうか?
Hさん:
いや、まったく計画とかないですね。たまたまサラリーマン時代に一緒に仕事をしていた日系ブラジル人の友人( ファブリシオ )も
仕事を辞めてサンパウロに帰っていたんですね。
仕事を一緒にしていた当時は「お前の国にいつか行くからな!」って冗談っぽく言ってはいたんですが、
会社を辞めてからは行くべきときが本当に来たなった感じていて。日本とブラジルとでやりとりをして
「 あのとき、ブラジルに行くって話したの覚えてる?本当に行くからな! 」って言って訪ねていったわけです。
その知り合いがいるサンパウロを拠点にするということだけ決めて。あとは行ってから考えるという感じでしたね。
3~4ヶ月は旅したいとは思っていましたが、釣り道具だけ持って。彼は釣りはするんですが釣りキチというほどでもないし、
ブラジル国内の釣り場を詳しく知っているわけでもなく。それと、ブラジルへ行く直前にバイクで事故ってしまうという
アクシデントなんかもあって、
片足引きづりながら車椅子で現地に着くとその友人は「 え?ナンデ??どうしたの!? 」って言われたところからスタートで。
心配するだろうから事故のことは黙っていたんです。本当は右膝はく離骨折していたんですけど( 笑 )。
* ファブリシオと再会
* ファブリシオの親戚らと
K:
計画がないにしても、友人が一人現地にいるというのは大きかったでしょうね。
Hさん:
はい。全然違いました。ファブリシオの存在は大きかったです。都心は危ないって聞いていたので、彼がいるという安心感は大きかったですね。
で、到着して2~3週間はサンパウロから動かずに怪我した足を治すことに専念するという( 笑 )。
K:
ははは~ 取りあえず、行ってから治すみたいな( 笑 )。
* サンパウロ都心部
Hさん:
はい~ やっと、ゆっくり歩けるようになったところでバックパック持って「 大丈夫か?」って言われながらも、
一人で地方に向けて旅に出まして。
北上していくんですが。全部ほぼバスの移動で。最後に一番北部から戻るときと途中で1回だけ飛行機を使ったぐらいで。
2~3日ずーっとバス乗っていたこともあったりとか。
* とあるバスの中で
K:
しんどそうな感じもしますけど、バスでのゆっくりとした旅は楽しそうですよね。
Hさん:
そうですね。出会いとかが増えますしね。長時間乗るので。隣のおばちゃんが話しかけてきたりとか。
何にも情報なしで行っているので、このバスに乗ると隣の町に行けるということはわかっても、
その隣町でバスを降りた瞬間からゼロからスタートみたいな感じで。
宿泊先を予約しているわけではないので、まず宿泊先を一から探さないといけないという。安宿がどこにあるかもわからないので。
町歩いている人に「 安いホテルはどこですか?」って聞くところからで、バスを降りる度に毎回ゲームがリセットされるみたいな。
はい、スタート!って感じなんですね。
* とある町のバス停
K:
ははは~ 着くたびに知らない町ですものね。なるほど~
Hさん:
そうなんです。数時間で宿は何とか見つかるんですけどね。で、次の日に釣り具屋へ行って情報を集めて。
釣りに行って。大体、そんな感じで。その町にしばらく滞在して。また移動していくんですね。
* とある町の安宿内。まるで牢獄
K:
次の町へと移動していくタイミングとか、どんな感じなんですか?
Hさん:
狙っていた魚が釣れたとか。何かタイミングってありますよね。もうここにいても出会いはないかなとか。
そろそろ次かなという自分の感覚で。
それと次にどこに行くかは、地図を見て直感でここだということもあれば。
バスターミナルとかに行くと、ここからだと次はここしかないぞということもありますしね。
K:
それと、町の大小とかもあると思うんですけど、釣り具屋さんとかはあるものなんですか?
Hさん:
何らかありますね。日本みたいに大きいのはないですけど。小さくてボロボロだったりしますけど、一軒はありますね。
K:
へ~ で、この近くにいい釣り場とかありませんかって聞く? っていうことですよね。
* とある釣り具屋さん
Hさん:
はい。ピーコックバス、トゥクナレっていうですけど。トゥクナレが釣りたいって言えば大体教えてくれます。
全然釣れないときもありますけどね。
ここ釣れるって言われて連れてきてくれたけど、絶対ここ違うだろうっていうのもありましたけどね。
でも何とか、それを何回か繰り返していると
お目当ての魚には辿りつけていましたね。釣れなくても結構いろいろとハプニングとかもあって。
釣り具屋のおじさんにここが釣れる場所だよって、地図にマークしてもらったりするんですが、
そこへそのおじさんが連れてってくれない場合もあって。
そうすると誰に連れてってもらうかというのが大事で。距離が近ければモトタクシー( バイクのタクシー )とかで
行けるのですが、中途半端に距離があると、これは遠すぎるし、お金払って行ったとしても帰りどうしようかなとか。
行ってボートなかったらどうするんだとか。
その時その時の状況を見て、自分で旅を一つずつ組立てていく感じですね。
たまたま釣り場の情報を聞いているときに隣に釣りに行きそうなにいちゃんがいて
「 ちょっと、明日行く?連れてってくんない? 」っていうのもありましたし。
いいカモだと思われて、日当いくらでガイドサービスやるぜっていう人もいましたが。完全にタダでボートに乗せてくれた人もいたりして。
いろいろですけど。毎回町ごとにリセットされて、そこで得た情報をたよりに少しずつ数日をかけて組立てていくのが楽しいんですね。
魚がどうとかっていうより、そっちが面白くて。
* 時にはバイクタクシーで釣りへ
K:
釣れても釣れなくても、偶然の出会いにも助けられながら旅を組立ていくこと自体を楽しむっていうことですよね。
Hさん:
そうですね。正直、記憶に残った一匹って、あるようでないですから( 笑 )。
K:
ははは~
Hさん:
そうそう、1つあるかな。レッドピーコックっていうブラジル国内でも一部の流域にしかいない赤いピーコックバスを
釣ったときは結構苦労して。
いつものように手さぐりで一つずつコマを進めていっても、隔離されているエリアで町からもすごく遠くて。
そこのレッドピーコックを釣りたかったら、絶対紹介されたポザーダっていうガイドさんに頼まないと
行けない領域だったりするわけですね、普通は。
値段聞いたら、1日5~6万泊まり飲食込みで。でも、そんなお金ないしな~って。
何とか誰か連れてってくれないかなって思うのですが、現地の人にとっては赤いだけで魚種は一緒なんで
「 別に赤いだけの魚を釣りに行ってもな~、
魚なんてその辺にいるしな~ 」っていう感じで渋るんですね。でも、それを獲るまで次の町には行けないという気持ちになってきて。
結局いろいろあたって、あるお父さんに出会って釣り場まで行けることにはなったのですが、
そこまで時間がかかって。そのときは一つの町に3週間くらいいましたね。
* マルシオとの出会い
K:
釣り場にたどり着くまでのプロセスに3週間くらいかかっているわけですね?
Hさん:
そうです、そうです。その町で、ある日ご飯を食べているときに「お前釣りしにきたのか」って声を掛けられて。
ホットドック屋さんのお父さんだったのですが、仲良くなって何度か釣りに行ったんですね。
それはレッドピーコックではなかったんですけど。
そのうちに「ホテルは高いから、家に泊まりなさい」って言われて、数日後にはその方の家に居候するようになって。
* マルシオとの釣り
で、お父さんが仕事が休みのときに引き続き釣りも続いていたのですが普通のピーコックしか釣れないので
「 赤いのがいい、赤いのがいい 」って
言い続けて。「 ここにはいないぜ、ジャポネース( 日本人 )!」って言うですね。
でも、「 大体、場所はわかっているから行こうよ~ 」ってずっと言ってて。
「 お前がそこまで言うなら調べてやるよ 」っていうことに。ガイド業以外で行く人はいないか、漁師さんはいないか、時間があったら
みんなでお金を出し合ってでも行ってくれる人はいないかと探してもらって。やっと2~3週間後に
「行けることになったぞ!タカノリ!」って言われて。嬉しかったですね~「 ありがとう!」って叫びましたね。
* レッド捕獲作戦道中
場所は、四駆のクルマで5~6時間かかったかな。結構、町から遠くて。奥の方へ。
私有地の牧場をいくつか「 日本人が釣りしたいと言っているので通してくれ 」って頼んでもらって通過して、
ようやくその釣り場にたどり着きました。
タイヤがパンクしたり、ぬかるみでスタックしたり。通過していた牧場では牛がジャガーに襲われて食われていたりとか。
いろんなことがありましたね。
* クルマがスタック
* 牛がオンサに食べられていた
K:
すごいですね~ ちょっとした冒険ですよね。で、レッドピーコックはどうだったのでしょう?
* レッドピーコック捕獲時テント設営
Hさん:
釣り場に到達したら、釣るのは簡単でしたね。いい釣り場だったので。最初に真っ赤な魚がジャンプしたときは忘れられないですね。
サイズは小さかったのですが、「 ついに来たー!!」って思いましたね。ここまで長かったな~っていう。
* レッドピーコック大量捕獲
K:
面白いっすね~!!
Hさん:
魚もそうですけど、その状況ですよね。それが一番の収穫かな~そこまで、3週間も一緒にいたので別れの時は泣きそうで泣きそうで。
涙こらえて。車の中で男泣き、みたいな。うーん、このレッドピーコックの一件が一番思い出に残っていますね~
ピーコックバスって学術的な分類では15種類くらいいるそうで10種類くらいは釣りましたね。
ただ最初は何種類釣れるかって追いかけていたのですが
それよりも、そういったストーリーというか、人との出会いが結局一番面白いな~って、思うようになっていって。
K:
わかりますね~ 話聞いているだけで面白いですから( 笑 )。
他にニュージーランドやオーストラリアやモンゴルにも行かれたと伺いましたが・・・そうだな~ モンゴルの話を伺ってもいいでしょうか。
Hさん:
はい。モンゴルは3週間くらいと短い旅だったんですけど。中国の北京から電車に乗って、北上して。
K:
ほ~ 中国から陸路でモンゴルへ?
* 北京出発前
Hさん:
はい。
電車でモンゴルへ行って、旅を終えて。また電車で南下して北京まで戻るという。
K:
へぇ~ それもすごいですね。
*国境を抜け、車窓より
* 車窓からの夕焼け
Hさん:
大変でしたね、この旅も。開高さんの影響はあまり受けていない世代なのですが一応本を持っていってて、
電車の中で初めて読んだらあれ~同じことしているって驚いて。僕が開高さんと同じことしていたわけですが( 笑 )。
中国に対してもともと苦手意識があったんだけどでも、せっかくモンゴルへ行くなら中国を経由してみようと
思ったのがきっかけだっただけなのですが。
K:
ははは~
ところで、電車の旅とかは行く前に日本で手配していたのですか?
Hさん:
いや、韓国経由で中国へ入ったのですが、韓国と北京の往復の飛行機の手配だけですね。電車に関しては北京に着いてからで。
何にも情報がないのでどうしようって感じでした。片言の英語はわかるので何とかなるとは思っていたんですが。
K:
中国は英語が話せない方も結構いますよね。
Hさん:
そうなんですよ。英語が話せないのもあるし、外国人というか日本人が嫌いなのか絡むことすら嫌がられたり。
教えてくれって言っているだけなのに、
「 ごめんなさい 」みたいな。ホテルを見つけようとしても「ごめん。ない、ない」って言われてしまうし。
ホテル見つかってて、どう考えてもガラガラで。
ベッドメイクしたばかりの空き部屋が見えているのに 「 メイヨー没有(ない、ない) 」っていう。
K:
へぇ~ それも辛いですよね。
Hさん:
もう一晩中歩いて、野宿を覚悟かなって思ったときもありましたね。最後何とか見つかったんですけどね。高かったけど僕があきらめて。
5~6000円するところで、やっと宿泊のOKが出て。本当は安宿に泊まりたかったんだけですね、1000円もしない宿もありますしね。
で、ブラジルのときと同様ですが、やっと落ち着く拠点ができて。次は情報集めへ。荷物置いて、駅の周りをぐるぐる歩いて
ウランバートル行きのチケットが欲しいと。これが手に入るまでが複雑なんですね。普通、チケットって駅で手に入るじゃないですか。
K:
ですよね。駅以外って考えにくいですものね。
Hさん:
違う国に行くからなのか、日本人だからなのか、国際飯店とかいうホテルの中の旅行会社で発券してくれたんですね。
最初はあっち行け、こっち行けって言われて駅の中をたらい回しにされていて。そうしてうろうろしている中、
とある窓口の人が今度は何とかホテルに行けと言うんですね。「 なんでホテルなんだよ!?( 笑 ) 」って。
で、何十分かかけて歩いて行って。
そこは高級なホテルで英語を話せるスタッフがいて。チケットをやっと発券してもらえたという。
* 国際飯店前
モンゴルに到着したときに、そこからタイメンを釣りに行くわけですがウランバートルから地方へ行く前に
帰りの北京行のチケットも予約しようと思ったんですね。面倒なので。で、予約して旅へと出たんですね。
K:
そのほうが安心ですよね。行きの北京のようなの苦労とか面倒ですしね。
Hさん:
そうなんですよ。最後にタイメンも無事につれて旅が終了して、さあ帰ろうということで安心だな~
帰りのチケットも決まっているし。で、その電車に乗って席に着いたんですね。あ~旅は終わったな、と。
K:
後は帰ればいいと。
Hさん:
そうそう、何かしみじみした気分に浸っていて。そこへ「 おい、日本人来い。荷物持って降りろ 」って言われて。
これはいちゃもんかなって思ったんですが、そうでもなさそうなのですが英語も彼らは話せないので何を言っているのか、
さっぱり意味がわからない。そうこうしている電車が出発してしまったんですよ( 笑 )。
K:
え~ 大変じゃないですか!
Hさん:
チケット持っているのに、電車行っちゃうし。どうしてくれるのって、激怒ですよね。結局、駅の事務所みたいなところに連れて行かれて
英語が話せるスタッフに説明を受けたのですが、ダブルブッキングだったんですよ。ごめんなさいという謝罪はなしでしたが。
K:
ひどい話ですよね。で、その後どうなったのでしょう。
Hさん:
ふてくされて、その日は駅の事務所に1日寝て。僕はもともと北京まで直行の電車のチケットを取っていたんですね。
で、北京からの飛行機の時間が決まっているので早く帰らせないとまずいという配慮なのか、
それから夜中発の電車に乗せてはくれたんですが、
国境からはバスだって言い出すんですよ。意味わかんないですよね。
「バスはもちろんタダだから」って言うんですが、「 当たり前だろうっ!」て( 笑 )。
* 中国との国境、二連という駅
K:
ははは~ 国境からバスに乗り、何とか帰ってきたわけですね。
Hさん:
はい。いや~ 大変でした。しばらく北京とモンゴルはいいかなって思いましたね。
K:
釣りよりも行き帰りの苦労のほうが印象に残っているという( 笑 )。ところで、本題のタイメンの釣りはどうだったのでしょう?
釣り場にたどり着くまでの苦労とかもあったのでしょうね。
Hさん:
ブラジルと似たような具合でしたが、チョロート川がいいという情報は何かで聞いていたんですね。
モンゴルに行くならチョロート川だと。で、確か「地球の歩き方」などを読んでルートを調べて、
この町かなっていうのが薄らわかってはいましたが、結局細かいことは行ってみないとわからない。
チョロートという言葉をずっと出しつつ、ウランバートルから地方向けのダルゴンというバスステーションに
行くのですが直行バスはなくて。途中で2つくらいの拠点を乗り換えないといけない。
* ウランバートルのバス乗り場
情報がないので、取りあえず方角はあっているだろうとその町に降りたらホテルを探して、ブッキングして一泊して。
観光っていっても草原しかないので、あんまり長居をしてもしょうがないからすぐにチョロートに行くには
次にどの町に行けばいいか聞いてまわって。
で、ツェツェルレグとタリアットという町へバスで乗り換えて移動していって。
まあ、1日に1便くらいしかないので、それぞれの町でまた1泊しないといけないのですが。
食事もあまりおいしくなくて、塩味で。地方だと水道がない国なのでシャワーもほとんど浴びられないし。言葉も通じないし・・・
* バスの車窓より
K:
それは大変!
Hさん:
ブラジルだったら、しゃべれないって言ってても「 日本から来たんでしょ!ははは~ 」って声を掛けてきて
「 お茶飲むかい?飲むかい?」って感じなんですね。バスに乗っててもモンゴルはみんな黙ってて会話がない( 笑 )。
K:
国民性が全然違うんでしょうね~ で、なんとか目指す釣り場に到達したわけですよね?
Hさん:
はい。最初は、テルヒンツァガンノールという湖が拠点なんですね。
そこから、チョロート川に行かなくてはいけなくて。湖に行くときに最寄の町から最後はミニバスに乗ったんですが、
そこでバトルクという名前のお父さんと仲良くなって。運転手さんだったんですね。
* バトルクとの出会い
* 湖前、ソンデという名の少年と
日本人が好きで。ミニバスにはヨーロッパ系の方も数人乗っていたんですが相撲の影響もあってか、親しみを感じているようで。
「 ヤポン( 日本人のこと )、お前は釣りしに来たのか?」っていう話になって。で、開高さんの本を見せたらすごい食いつきまして。
日本人が好きで釣らせてあげたいって思ってくれたみたいで「 お前だけ特別に俺といっしょに行動するんだ 」みたいなことになって。
* ヨーロピアンと一緒に移動
最初は、アジアに多いやばい輩みたいな。いるじゃないですか、カモにしようとするみたいな。だからちょっと警戒しましたけどね。
でもどうもいい人のようで。「 数日仕事の予定があるが、その後にチョロートに連れていってあげるよ 」ということになり。
K:
へぇ~ それはラッキーですよね。苦労も報われる感じで( 笑 )。
Hさん:
そうですね。その湖を拠点に2回チョロートに行くことができました。1回目は1尾だけ釣れて、2回目に1mはいってないと思いますが
90cmくらいのタイメンを釣ることができましたね。1回目の最初のキャンプは、そのお父さんもいっしょに泊まってくれて。
お父さんは車で寝て、僕はテントで寝て。2回目は1人でのキャンプで。
* バトルクとのキャンプ
K:
タイメンが釣れたときは感激したでしょうね~
* 最初の一匹( タイメン )
* 旅の最大( タイメン )
Hさん:
もちろん感激はしましたし、嬉しくてうわぁ~ってなりましたが。釣りの前後に悲惨な思い出がいろいろありすぎて。
その印象のほうがが強くて( 笑 )。
K:
ははは~
Hさん:
みんな魚を目指して行くのだとは思いますが、僕もそうなんですが何か魚よりも旅の中での
様々なハプニングを求めていたようなところがあるのかもしれませんね~
K:
旅そのもの、その全体を楽しむっていう感じでしょうか。
Hさん:
そうですね~
そうそうテルヒンツァガンノールに初めて到着してテントを張ったときですが、他のモンゴル人のお父さんが話かけてきて。
日本人が好きなようで。
自然保護のレンジャーのようでしたが、そんな原っぱにいたらオオカミ来ちゃうから、
俺たちのゲルの隣にテント張れよって言うんですね。で、そこへテントを移動して。
* チョロート川にてテント設営
* チョロート川にて
たまにそのゲルにタダで泊まったりして。いっしょにお酒を飲んだり。このお酒がアルヒっていって、ウォッカなんですね。
度数は高いし、場所の標高も高いのでお酒があんまり強くないこともあって三日酔いになったこともあって。
次の日気づいたらその日終わっていたという。三日目も死んだようになっていて。。。
K:
ははは~僕も釣りではないのですが、仕事で一度キルギスの遊牧民のテントに泊まったことがあるのですが。
そこも標高3000m近くあって。ちょっと歩くだけで息は切れるし、酒飲むと酔う酔う( 笑 )。
それと遊牧民の人たちって酒が好きだし、やたら勧めてくるし。
Hさん:
はい、はい。2杯目を勧められて断ると「 俺の酒が飲めないのか 」っていう感じで怒りだしたりとか。
遊牧民は血の気多い感じなのでしょうね。
朝青竜みたいなお兄さんに酔っ払いながら怒られたら怖いですからね~やぁ~ お酒に関しては辛かったです( 笑 )。
でも旅全体としては、ブラジルもモンゴルも面白かったですがモンゴルの方がより過酷なだけあって冒険している感はあったかもですね。
でももう一度行くかって言われたら、もうしばらくはいいかな~( 笑 )
* 草原での宴会
K:
ははは~ 本日は面白い話をたっぷりとありがとうございました!!
完
< 編集後記 >
現地に着いてからバスや電車を乗り継いで組み立てていく旅。
魚釣りもさることながら、日野さんはそこへ辿り着くための過程、人との出会いが旅の醍醐味と
語ってくれました。
いつも行先を決めて釣り旅に出かける私にとっては、とても新鮮で話を聞きながら
自分も旅をしているような楽しさを味わいました。
日野さん、改めてありがとうございました!!