vol.20 ロンドンで巨大パイク!ってマジすか?
2016年12月17日 19:00
今回のゲストは、ロンドン市街の運河でメーターオーバーのパイク釣りに挑戦し続けているという
Shota Jenkins Konnoさん( 栃木県在住:以下、Jさん )です。タイ釣行から帰国直後に羽田空港国際線到着ロビーで待ち合わせして、
空港内のカフェでインタビューするという初のケース。
ていうか、、、大都会のロンドン市街で野生のパイクが釣れる??って。本当なんですか~?? 早速、お話を伺いましょう!
インタビュアー 工藤( 以下、K ) 2016年10月23日
K:
今日は、タイから到着した直後というタイミングで恐縮です。ところで、お仕事で釣り関連のライターとか通訳などをされているとか。
Jさん:
メインはロッド開発に携わっているブランド関係の執筆ですが、その他の釣り具メーカーさんのWEBマガジンを書いたり、
海外の雑誌やWEBマガジンにも記事を書いてます。取材があれば写真を撮って記事にしたりなどのコンテンツの制作とかもしていますし、
海外のフィッシングショーのアテンドで一緒に行って、通訳として展示会のブースとかに立ち会ったり、商談のお手伝いなどもしてます。
K:
へぇ~ そういう釣りとの関わり方で仕事をされているのですね。英語が堪能なのは、どこか海外での滞在経験とか?
Jさん:
20~27歳の間イギリスにいました。そこで最初は学校に通ったりして、徐々に仕事をして暮らすうちに、ついつい7年も・・・
K:
なるほど。
「 世界を釣ろう 」のインタビューでは、自由に海外での釣りについての体験や思い出について語っていただいているのですが、
今野さんは、そのイギリスでの滞在している間に釣りもされていたのですか?
Jさん:
そうですね。私にとって、海外の釣りはそこに住んでいたので逆にホームの釣りであり、圧倒的に" パイク "なんですよね。ロンドンでの。
おおげさではなく、人生の中で一番すごい頻度で釣っていますね。
竿持って、ロンドンとかレンタルサイクルがあるんですよね。ドッグとかに乗り捨てていいという。
街中にそういうドッグがあって自由に移動できるんですね。出勤もそれを使っていました。
K:
いいですね~
Jさん:
おかっぱりの少年みたいに1ピースの竿を片手に持って。出勤前に釣りして。で、オフィス行って仕事終わったら、また釣りしたりとか。
* ロンドンにて。
K:
ははは~ 先程、パイク釣りって話をされましたが、ロンドン市街ですよね?
Jさん:
はい。カナルっていう運河がありまして。中心街を流れている運河はそれ一本しかないんですが。
毎朝、毎晩と毎日のように釣りをしてましたね。
K:
そこで、パイクが釣れる?
Jさん:
普通に釣れます!
K:
へぇぇぇ~!! それはいいすね。
*ロンドンの運河・ カナル
Jさん:
驚くほど。東京でいう神田川とか、他にもいろんな運河とかありますよね。
あれより、もっともっと狭い。場所によっては、川幅3~4mになっちゃうぐらいの小さな小さな川なんですよ。
そこに結構、魚がいて。あのころは、ルアーをやっている人も少なくて。ルアーにおいては後進国で。
K:
ルアーよりもフライがメインなんでしょうね? イギリスとか、ヨーロッパとかは。
Jさん:
そうなんですよ。なので、ビッグベイトとかへの反応とか、すこぶるよくて。すれてなかったんでしょうね、ルアーに。
最初は、そこに魚がいるなんて知らなかったのですがいることがわかってから、日本の友人に僕が使っていた釣り道具やルアーを
みつくろって送ってもらって。釣り始めて、しばらくすると大きいのも釣れるようになって。
僕がパイクを釣るきっかけになった師匠のような日本人の方がいるんですね。その方は日本に住んでいるんですが、
世界をバンドのツアーで旅をしている人でヨーロッパツアーに来ると僕と一緒にロンドンで釣りをするという。
K:
はは~ 面白いですね~
Jさん:
で、その人と僕の釣りの目標は、そのカナルという限定された条件の中で、1mのパイクを釣るということで。
それにすごく燃えたんですが、二人の記録ではまだ5mm足りない!
*99.5cmのパイク
K:
でも、すごいですよね!ロンドン中心街の運河で、99.5cmのパイクって!まず、いるっていうことが驚きですが。
Jさん:
はい。僕の記憶では、98cmオーバーは6本くらいは釣っているんですよ。
たぶん、あれメーターだったなっていうのを2本くらい逃がしちゃっている。
今でも年1~2回は行ってチャレンジしているんですが、ヨーロッパのフィッシングショーなどの展示会とかがあるときに絡めて。
動画撮影とかもしたことがあるので、ロンドン・カナル・釣り、とかで検索していただければ見られると思います。
* 90cmUPのパイク
K:
それって、一つの理想かもしれないですよね。
都市部でそれだけの迫力のある野生魚の釣りができるなんて。しかも、仕事前と仕事後に( 笑 )。
どうやったって東京じゃ。無理すればできるかもしれないけど。その環境は面白いですよね。
Jさん:
いや~ 本当に恵まれた環境でしたね。家から歩いても10分くらいのところから運河が始まって。
その運河は西から東まで一本長くあるんで。1日かけて、ラン&ガンしていくこともできるし。
家の前の運河からここまでとか。今日はバスに乗ってここからここまでとか。毎回アタックするストレッチを自分で決めて。
K:
どんどんとリサーチしていくわけですね。
Jさん:
居つき系の魚なので、1年も通っているとだいたいどこにメータークラスがいるかという目星もついてくるんですね。
あとは天候とか、タイミングとか。
狭い運河で船が通る通らないのタイミング次第では結構毎回大きいのが釣れる。中々メーターには届かないんですが。
また、土日は遠征をしようと。釣り仲間の人の車に乗って。いろんな街の中を流れる川に行くのですが、
これが釣りとしても旅としても楽しくて。川沿いにオシャレなパブとか、カフェとかもあったり。
* カフェにて。
*ロンドンのパブ
K:
それはとても新鮮な話です、私にとって。海外の釣り旅=秘境というイメージでいつも旅をしているので。
Jさん:
街中でブラウントラウトとかも釣れるんですよ。
K:
そうなんですか~??
Jさん:
カフェに座りながらでも釣れるところにいたりとか。
面白かったのは、上をふたされていて、川から水が流れこんでいく土管のようなところに
フローティングミノーを軽く流して巻いてくると、そのドブの中から音がするんですね。
バホッ、バホッって。で、ブラウンが釣れてきたり。
* ブラウントラウト
K:
これ、イメージなんすけど。ロンドン市街だから、そんなに水質とかはよくないですよね。
そんな環境でよく魚が成長するなと。意外な感じですよね。ブラウンも含めて。
Jさん:
そうですね。ロンドンは、パイクとパーチ。ブラウンは他の街なんですけどね。
確かにそんなに水質はよくはないですね。どぶ川っぽいし、ゴミもいっぱい沈んでますし。
ベッドとか、自転車とか、ショッピングカートとかも釣ったことあります( 笑 )。
* パーチ
K:
ははは~
Jさん:
そんな環境ではあるけれど、旅行のついでに楽しめるのでいろんな方にお勧めしています。
特にパイク釣りは、日本でバス釣りをやったことがある方であれば、岸やストラクチャーに投げるとかをきちんとやっていれば、
必ず結果が出る魚なので。僕のブログがきっかけで、オランダやイタリアとかでパイク釣ったという方なんかも
ここ数年で10人以上とかいて。案内したり、紹介したりとか。
K:
パイクって、メインで狙ったことはないんですが。私も何度か釣ったことがありますね。
今年の9月に行ったカナダのイエローナイフの湖では、メインはレイクトラウトでしたがパイクも2尾釣りました。
結構重たい引きで面白いですよね。
Jさん:
いいですよね。引きは派手じゃないけど、あのカラダなので1回のストロークは重いですよね。
それと秋かな。暑い季節からちょっと涼しくなる寸前の季節とかは、ものすごく引くんですね。冬はほとんど引かないですけど。
その代わりに重い。
K:
へぇ~ 同じ魚でも季節によって変わってくるということですよね?
Jさん:
はい。やはり、夏はやせるんですね。よく動いて捕食しますが、カロリーも燃やしていて。
K:
で、徐々に太っていって冬を越すんでしょうね。
Jさん:
そうなんでしょうね。
イギリス人は、むしろ冬にデッドベイトといってサバとかウナギの切り身でぶっこみをして釣りをするんですね。
海外の方って、重い魚が好きじゃないですか。長さよりも。
K:
そうですね。その辺の感覚というか、違いは面白いですよね。日本人はまず長さから聞きますものね。
Jさん:
だから、彼らはパイクは冬に釣るのが正義、王道みたいな。夏は数釣りを楽しむためという感じで。
K:
ちょっと話は変わりますが、イギリスに行かれる前の日本では、やはり、バス釣りとかをされていたのでしょうか?
Jさん:
そうですね。ルアーをやり始めたのはバスがきっかけですね。小さいころはまず魚が好きだったので、
網で獲るところから始まって。生きもの好きなんですよね。
K:
あ~ 一緒ですね。そういう人って多いんですよね、私も含めて( 笑 )。
Jさん:
今回タイにナマズを釣りに行ったんですが、ずっと脇で熱帯魚とか釣ってたりして。
シクリッド( * )とか自然繁殖しているんですよ、釣り堀とかでも。
日本だと8000円とかするようなシクリッドがパンで釣れる。そういうのが、実は一番楽しい( 笑 )。
( * )ティラピアなど、スズキ目ベラ亜目シクリッド科に分類される熱帯魚の総称だそうです。
*ティラピア
* フラワーホーン
こんなことに燃えてしまうくらい熱帯魚好きだったもので( 笑 )。それで小さいころは網で獲ったり、それからエサ釣りをやって。
小学校3~4年生のころかな。ルアー始めて。で、ブラックバス釣りを大人になっても何となく続けている感じだったんですけど。
イギリスに行った20歳のころから、実は3~4年は釣りをやっていなかったんですね。
たまに日本に年に1回帰ったときに誰かと釣りするくらいで。
向こうでは、釣りはできないと思っていましたし。それ以上に仕事とか、英語とか。週に3回くらいバスケットボールとかして。
何か忙しくて。でも、いざ釣りができるとわかったら、止まんなくなっちゃって。
K:
ははは~ ところで、ロンドンの運河とかで、釣りができるというのは何で知ったんですか?
Jさん:
それもすごい運命なんですけど。先程、師匠って言っていた方( 森本さん )が昔「BASSER」で連載を書いていて。
その記事を見た親友の釣り仲間が電話でロンドンの街でパイク釣れるよって教えてくれたんですね。
「 え、あのノーザンパイク? あそこ汚ねし。絶対いないから 」って1年くらい放置していたんですね、その話を。
で、たまたま仕事で運河沿いを歩く機会があったときに、ホームレスみたいなおじさんがスピナーでちょうど
パーチを釣り上げる瞬間を見て。
え、魚いんの?って思って話しかけたら。パイクもいるよ、みたいな。で、これはいいなとやり始めて。
また、いろいろと調べたら、森本さんのブログとかも出てきて。
ロンドンに何年も住んでいるので、そのブログの写真を観たら、あ、あのカナルだってわかるから歩いてみたり。
親友からの連絡をきっかけに森本さんという存在を知ったわけですが、その後、ヨーロッパで出会うことになり、
そしてパイク釣りも一緒にするようになっていったという。
* 森本さんと
K:
へぇ~
そんな運命の出会いがあってパイク釣りにはまったロンドンの数年間があり、その後帰国されて約5年くらいとのことですが、
現在日本国内では釣りはされているんでしょうか。
Jさん:
先程、レイクトラウトの話が出ましたが、中禅寺湖のレイクトラウトにはまってまして。ここ2~3年はそれに一番はまってます。
一昨年始めて釣れなくて、昨年やっとレイクトラウトにたどり着いて。今年は35回くらい行ってますね。
もうお金がなくなるくらい( 笑 )。
* 中禅寺湖のレイクトラウト
K:
ははは~ 凝り性なんですね~
Jさん:
それをやりつつ、出張含めて海外へは年に2~3回は釣りに行ってますね。タイは仲がいい友人も多いので、今年4回目かな。
K:
今回のタイの釣りはどんな釣り場だったのでしょうか?
Jさん:
釣り堀ですね。ブンサムランというところで、年内で移転してしまうと聞いて。そこで釣りできるのは最後かなということで。
※ 移転が2018年に延期になったことが後日発覚
K:
有名ですよね、ナマズとか。日本からも行かれている方もたくさんいて。
Jさん:
はい。ナマズはよく釣れるのですが、あえて今回は、パーカーホという巨大なコイ狙いで。
あの風景の中で、ガイドと一緒に釣ってるよっていう写真を撮りたくて。今後撮れなくなってしまうと思って。
K:
" あの風景 "っていうのは、独特な風景なのでしょうか?
*ブンサムランの風景
Jさん:
どうってことのない、都会にある汚い湖なんですけどね。でも湖畔には水上ロッジがあって、何かちょっとリゾートチックなんですね。
現地の人は釣りしないのに、ビリヤードをしに来たり、お酒飲みに来る人がいたりとか。日本にはない不思議なところなんですよ。
で、日本なら " 九頭竜川のサクラマス " みたいな感じで " ブンサムランのパーカーホ " って、何かちょっと特別なんですね。
他の釣り堀行けば全然釣れるんですけど。
K:
へぇ~ そこで釣るのがブランドみたいな( 笑 )。 でも、今回は残念ながら・・・
Jさん:
はい。釣れるのはメコンオオナマズとかばかりで。毎朝5時起きで、朝の7時前から夕方の6時まで。4日間みっちりやったのですが。。。
* メコンオオナマズ
K:
よく行かれるというタイですが、釣り堀がメインの釣り場になるのでしょうか?
Jさん:
今回は完全に釣り堀でしたが、タイもいろいろあって。ワイルドな湖もたくさんありますし。湖でチャドを狙ったりとか。
バラマンディの釣り堀っていうのもあります。
また、バラマンディの養殖池の収穫の手伝いで、何投げても釣れるみたいなところに行ったこともありますし。
生簀に移すために釣るっていう。何かいろいろな釣りがありますね、タイは。
入門篇としては、一番いいんじゃないですかね。すごく安いし。
* タイのある自然湖
* チャド
K:
よく聞きますね。最初に行くにはいいって。
Jさん:
まず、タイの釣り堀で10kgのバラマンディをかけたら、こんな針だと曲がるとかこんな糸じゃだめだなとか。
勉強してから、オーストラリアやスリランカ、カリマンタンに行ったほうがいいですよね。
そういった意味でいろんな方に紹介したいなっていう場所ですね。
* バラマンデイ
後は、ヨーロッパでは今、ストリートフィッシングというのが流行っていて。
僕が昔やっていたような街中の釣りをもっとかっこよくスタイル化しようというのが、フランスとかイタリア中心に広まってて。
K:
へぇ~ ストリートフィッシングですか。何か、かっこいいですよね。
*こんな街の運河で気軽に釣りを楽しむストリートフィッシングがブームに
Jさん:
まあ、釣竿の絡みで、ストリートフィッシングの大会に招待されて行ったりとかも去年2回くらいありまして。
* ストリートフィッシングの大会風景
K:
ストリートフィッシングって、先程のロンドンの話のように都市の水辺で釣りをするっていうことですよね。面白いですよね。
Jさん:
そうですね。例えば、オランダって運河で栄えた国じゃないですか。だから、街中に運河が張り巡らされていて。
どこにでもパイクっているんですね。こんなに水深が浅いところにいるのかっていうところにも。
オランダのことわざで、水たまりにもいるって言われているらしいです。
* パイク、オランダにて
* オランダの運河の風景
そういうところで、大会をやるみたいな。いろんなメーカーさんが盛り上げようとしたりとか。
あと、手軽さとか。釣りをもっとかっこいいものにしようよっていう運動が5~6年前に大きくあって。
K:
そうなんですね。知りませんでした。
不勉強だったな~ 先程お話したように海外釣り旅=大自然、秘境の旅というのが、私のイメージで。
ロンドンやアムステルダムとか、都会の水辺で気軽に、しかもスタイルとしてかっこいいものにというのが目ウロコです。
そうなると釣り具とかも、今までのものとは変わってくるんでしょうね。
Jさん:
そうですね。竿なんかも、パックロッドが注目されていますね。
ストリートフィッシングという文化が生まれてきたことで、パックロッドの価値が変わってきました。
サブではなく、メインで旅をするぐらいに。機動性もさることながら、よりかっこよく。
竿の技術も進歩しているのでクオリティも高いものができるようになってきています。
K:
いいですね。パックロッドは、いざというときのバックアップで持っておくというような位置づけでは、もはやないという。
仕事に行く前や帰りに釣りをするなら、きっとデザインもスタイリッシュなものが求められるでしょうね。
Jさん:
そうですね。なので今も、日本へとそんなストリートフィッシングの文化を色濃く持ってくるプロジェクトを
広めていけないかなぁと画策中です。
海外に行く釣り人は増えたし、世界は狭まったところがありますが、まだ本当の意味でのエクスチェンジが出来てない様に感じてます。
K:
それは楽しみです!
自分で言うのも何ですが、私みたいなガチな釣り師ではなく日常の中で、さりげなく釣りもするみたいなのもいいですよね。
最近、釣り人口が減少傾向なんて話をよく聞きますが、釣りを楽しむ人を増やすためにもいいヒントのような気がしますし。
Jさん:
アマゾンとか、僕も行ったことがありますが。そういう超非日常体験もそれはそれでいい。
でも、日常の延長にある身近な非日常っていうか。
普段仕事で通っていた水辺で魚が釣れたら、それってものすごいサプライズじゃないですか。
それと釣りを楽しむ人を増やすという視点で言うと、釣りを趣味にっていうと、もうおおげさだと思うんですよ。
釣りをほどほどに楽しむっていうのも、ありなんじゃないかと。ほどほどの距離感で水辺に関わるような。
K:
わかるような気がしますね、それ。
Jさん:
ストリートフィッシングであれば、パックロッドを取り出して気軽に釣りをしたり、カフェに立ち寄ったり。
ちょっと郊外ならキャンプなどのアウトドアのアクティビティの一つとして釣りを取り入れるとか。
キャンプ行ったときに釣りとかもしてみないっていうノリで。旅行のついでに、出張のついでにとかも。
今まで釣りをしたことのない人には、それぐらいの緩さで楽しんでもらえれば十分じゃないかと。
K:
何か、それぐらいの自然な釣りとの関わり方とかもかっこいいですね。そんなスタイルが東京でもできると素敵かもしれない。
ただ、私が子どものころ( 昭和40年代東京大田区 )は近所の池や沼とかで魚やザリガニを網で獲ったり、釣ったりとか。
随分と自由に生き物に触れていましたが、今はすっかりそんな環境はなくなってきていますよね。
Jさん:
根底にあるのは、子どもなんですよね。僕も子どものころ、千葉県でしたが近所に貯水池とかがあって。
汚いですけど泳いだり、網で獲ったりとかやっていました。
ブラックバスもいたし。それが今じゃ99%立ち入り禁止で。入ったら、すぐ警察来ます。
K:
そこなんですよね。子どものころ遊んでいた池はその後、子どもが落ちたら危険だということで埋め立てられてしまいましたし。
Jさん:
本当に危ないのは、池に落ちることよりも、水辺を裸足で遊ぶことによって足を傷つけたりという経験をすることなく
大人になっていくことのほうですよね。
K:
自然は怖いものだということをカラダで学んでいくことがなくなっていくことのほうが怖いってことですよね。
Jさん:
はい。結局、そうやって水辺に近づくことを禁じられた子どもが大人になり、またその大人の子どももそういう風に育てられる。
そうなると池は危ない以前に単に入ってはいけない場所っていうだけじゃないですか。
僕には、9歳の弟がいるのですが、今の小学校では釣りは危険なものと思われているんですね。
釣り行ったって、学校で先生に言ったら、「大丈夫? 危なくなかった?」って聞かれるそうです。
K:
え~ 今そんなことになっているんですか?
Jさん:
それが何より危機的な状況を表していますよね。自然への怖れを身をもって経験できないのは本当に怖い。
僕らは、釣りっていうものを中心に置いて、自然への怖れや生き物の生態とかいろんなことを学んできたと思うんですけど。
なので、ちょっと前の話に戻るようですが、釣りにドハマリしろとは言わないけれど。
ほどほどでいいから子どもにも若い人にも水辺との関わりを持っていてほしいですよね。
そうでないと将来、100%日本の水辺は立ち入り禁止なんていう悲惨な状況になりかねないって、本気で思います。
K:
ちょっと真面目な話になってしまいましたが( 笑 )。そんな日本の環境かもしれないけど、できる範囲でいいから
水辺との関わりをライトな釣りから入ってみてはっていう、ことですよね。
Jさん:
そうですね。
僕なんか海外ばっかりで釣りしていると思われがちなんですけど、そういう枠は関係なく、
子どもとか、釣りしていない人に少しでも釣りっていいんだけどな~みたいな。
釣りやりましょう!っていう熱意とかじゃなくて、釣りをやることによってこんなことが楽しいんですよ。
こんなことが知れるんですよというアプローチをできたらなと日々考えていて。
だから、ブログとかも何時にこういう道具でこういうレンジを攻めましたっていうことより、
その釣りや旅にまつわる料理やカフェだったり
というお話をなるべく書こうとしていて。だからタックルの詳細とか、あんまり書いていないんですね。
K:
その感覚、わかりますね。私もこのWEBサイトでは、釣り方とかヒットルアーがとかは話の流れで書くことはある
けど、旅心だったり、風景だったり、こんな楽しいことがあったとか。そういうことのほうが面白いだろうなと。
釣りそのものだけじゃなくて、その周辺にあるいろんな楽しさを味わいたいですよね。
今日は、新しい刺激を受けるような面白い話の数々。本当にありがとうございました!!
完
<編集後記>
ロンドンという大都市の中を流れる運河で野生のパイクが釣れるということに
まず驚きと新鮮な感動を覚えました。
手つかずの大自然へと出かけて野生魚を釣るのが海外釣り旅という、私の今までのイメージとは真逆ですが、
こんなスタイルの釣りもあるのかとワクワクしますね。
また、Konnoさんが語られたように超非日常の秘境の釣り旅もいいけど、自分が住んでいて
いつも通っている近くの水辺で魚が釣れたら!きっと素敵だろうなって。私も思いました。
それは、今の東京などの日本の都市では簡単ではないかもしれないけど、
これから釣りをもっと多くの人に身近に手軽に楽しんでもらうためには、そんな環境が開発、
発見されていくことがとても大切なのではないか。そんな思いを抱くきっかけにもなった
インタビューでもありました。