vol.27 ただの“ パイク ”バカです!?篇
2018年10月08日 16:00
今回のゲストは、イラストレーターの時川さん( 沖縄県在住:以下、Tさん )です。
釣りの対象魚として、一番好きというパイクについての話を中心に伺いました。
なぜ?そんなにパイクが好きなのでしょうか??その熱い思いあたりから、インタビューはスタートしました。
*時川さんは、vol.2ゲストの折茂さんにご紹介いただきました。ありがとうございました。
インタビュアー 工藤( 以下、K ) 2018年7月23日
* フライで釣ったマイ・ファースト・アイリッシュパイク メモリアルな1匹だ。 2016年 アイルランドにて
K:
今日はお忙しい中、ありがとうございます。早速いろいろとお話を伺っていきたいと思います。
たまたまなのですが、トラウトアンドキングさん(海外釣り旅専門の旅行会社)のHPの「釣りの遠征報告」のページで
時川さんのアイルランドでのパイク釣りのレポートを読んだんですね。とてもユニークな旅をされていることと、
そこに掲載されている時川さんの笑顔がとにかく楽しそうで印象に残りました。
だから、パイクへの思いとか強いのかな~って思っていて。
Tさん:
そうですね。人からはたいていなんで?って言われるんですけど。
僕はパイクが一番好きなんですね、釣魚として。
K:
へぇ~ ただ、日本では釣れない魚じゃないですか。最初、釣りの対象として興味を持たれて、
海外まで釣りに行かれたんですよね?どちらかに。
Tさん:
振り返ってみると、名前を知ったのは中学生くらいのころで。たぶん、その姿を知ったのは、開高健さんの本だったと思いますね。
それと当時は音楽に興味を持ち始めたころで、そのころ好きだったヒカシューというバンドが " パイク "っていう曲を歌っていて、
そのときに「パ・イ・ク」っていう3文字の言葉の響きがものすごく強烈に頭の中に入り込んできたんですよ。
で、妙にこびりついて離れなくなっちゃった。ただ、その曲のパイクが魚のパイクかどうかは今もわからないんですけど( 笑 )。
K:
なるほど~ あの独特の風貌というか、いいですよね。
パイク狙いではなかったのですが、アラスカでサーモン狙いの合間にスプーンに食いついてくることがあって。なんじゃ、この魚は?って。
Tさん:
パイクにはスプーンは、すごくいいんですよね。スウェーデンに行ったときもABUのスプーンでよく釣れましたよ。
K:
そうなんですね。で、やはり初めての海外の釣りは、パイクを狙って行かれたのでしょうか?
Tさん:
そうですね。海外で初めて釣りをしたのはイギリスなのですが、それはたまたま友人との旅行の際に
ロンドン郊外のトラウトの管理釣り場へついでに寄ってみたという感じで。
意識的に海外で釣りしようと思って行ったのは、パイクですね。最初は1997年で、アメリカのミネソタでしたね。
K:
最初にそこを選んだ理由って何なのでしょうか?
Tさん:
それもたまたまある飲み会の席で、アウトドア雑誌関係の方々が集まっていたのですが
隣から" パイク "っていう声が聞こえてきて何かなって思ったら、米軍の横須賀基地で働いている日本人のレーダー技師の人がいて、
アウトドアが好きでライターもやっていた方だったんですね。
で、その方が夏休みに同僚のミネソタ出身の方の里帰りに合わせて、ミネソタへ行くぞ!っていう話をしていまして。
それを聞きつけて、「パイク釣りへ行くんですか?」て話しかけてたら、「パイク好きなの?じゃあ、一緒に行く?」
みたいな感じになって。
K:
ははは~ いいですね~
Tさん:
で、その方とその方の同僚や仲間と私の4人で行くことになりまして。それが最初ですね。
* ボートを積んでミネソタからカナダの湖に向かう準備
* ミネソタでの食事風景。キジ肉のローストを食べると散弾銃の弾がポロポロと出てきた
1997年の夏で、もう21年前になりますが。ミネソタ州のミネアポリスから小さい飛行機で1時間くらいのところにある、
名前は忘れちゃいましたが、小さな村で。東洋人も来たことがないというような。
行っている間は、地元の小学校に招かれたり、新聞社の方が訪ねて来たりとか。
K:
大騒ぎですね( 笑 )。
Tさん:
で、ミネソタ出身の同僚さんと一緒にボート出して、地元の湖で釣りしたりして。パイク、ウォーライ、クラッピーとかを狙って。
* ミネソタのリーチ湖で釣ったちびパイク
* 同行者がフライタックルにエサをつけて釣った( 笑 )クラッピー
* フライドクラッピー 白身でとても美味しい!!
K:
そこは釣りが盛んなところだったわけですね。
Tさん:
冬はハンティング、夏は釣りみたいな感じで。ファミレスに行けば、パイクの大きな剥製が飾ってあったりとか、そんな土地ですね。
* ファミレスや商店の壁にはパイクやシカなどの剥製が極々ふつうに飾られていた
また、その旅の日程の中で国境を越えてカナダへも行って、そこでも3日くらい釣りをしました。パイクやレイクトラウト狙いで。
ランディングのあと写真を撮る前に暴れて逃げちゃったので写真はないんですが、パーチを追っかけ回しているのを見つけて投げた
ペンシルベイト(ちなみにラッキークラフト・サミー100のゴーストブルーギルカラー)で釣った1匹は忘れられないですね。
バケツをガバッとかぶせるような迫力のバイトでした。
* イエローパーチ。スウェーデンのパーチと近い種
* カナダの湖で。白頭鷲やビーバーの姿も見かけた
K:
2016年の9月に、カナダのイエローナイフの湖へレイクトラウトを釣りに行ったのですが
同じ湖にパイクもたくさんいましたね。
生息域は北米からユーラシア大陸と広いですけど、かなり北の方にいるんでしょうね、パイクって。
Tさん:
トラウトと一緒で冷水性で、ヨーロッパとか北米やモンゴルとか。
あっちの方では専門誌もあるし、釣りの対象魚としてはポピュラーですよね。
K:
アラスカやノルウェー、アイスランドとかサケ科の魚を求めていろんなところへ行っているのですが、
空港とか売店の雑誌コーナーなどでは、パイクが表紙や記事になっている釣りの雑誌をよく見かけますからね。
相当盛んなんだろうなって。
* ルアータックル&ルアー。大型のスプーンはパイクにとても効く昔からの定番ルアー スウェーデンにて
* 北欧の渓にてフライを漂わす スウェーデンにて
Tさん:
そうですね。
ヨーロッパなどのバスのいないエリア、スウェーデンとかもそうですけど、ABUのカタログにもバンバン出てきますし。
You Tubeとかで、パイク釣り専門の番組があったり、ダービーがあったりとか。向こうでは結構ポピュラーですよね。
それと、フレッシュウオーターでちょっと北よりでっていうところが好きなトラウトと重なる部分もあって。
* 1998年の釣り。こんなのどかな雰囲気の湖でヘンテコな魚( パイクのこと )が釣れちゃうのが楽しい スウェーデンにて
* スプーンで釣ったパイク。この頃はギャフでランディングしていたんだなぁ スウェーデンにて
後は、釣りとは関係ないですが、ライフスタイル・メーカーでフィンランドにマリメッコというブランドがあるんですけど、
そこの製品にはパイク柄のマグカップとか、鍋つかみや食卓に使うトレーとかがあったりします。
ミネソタ行って、その後にスウェーデンとかにも釣りに行ったのですが、
子供のころに触れた「ムーミン」とか「長くつ下のピッピ」に出てくるようなのどかな童話光景が実際に広がっているんですよ。
パステル調の建物とか、レンガ色の工場とか。そういった背景の前の水辺で、そういうヘンテコな魚が釣れるのが面白いなって。
* 同行者たちと地元の友人宅そばを流れる川でパイク釣り スウェーデンにて
K:
なるほど~。
それと釣りの対象としての面白さもあるけど、先程も触れましたがあの何とも言えない風貌というか、
ちょっと怖そうだけど憎めないような。愛されるキャラクター性があるんでしょうかね。
Tさん:
僕は職業がイラストレーターっていうこともあるのかもしれませんが、
パイクってキャラクター的にすごくいいものを感じるんですよね。
日本では興味持つ人は少ないと思うんですけど、いわゆる最近の怪魚ブームでも、人気なのはアマゾンへ行って大きなピラルクや
ピーコックバスを釣るとか、パプアニューギニアのパプアンバスとか。
パイクは、そういう方向の魚を目指す釣り人にはそれほどの人気でもないし、そんなに引きがすごいわけではないし、
人によってはマヌケな魚なんて言うし。でも、僕は好きです。勝手に盛り上がってますね( 笑 )。
K:
ははは~ パイク愛ですね~ で、海外釣行は基本はパイク狙いのために行かれてきたっていう感じなんですかね。
Tさん:
そうそう海外に行けるわけではないので、行くならパイク釣りのために行きたいですね。
ただ、僕はトラウトも好きなので、パイクと合わせて一緒にできたらすごく楽しいなっていうのはあります。
アイルランドへ行った時にも、ブラウントラウトを狙えるっていうんで一日だけ禁漁直前にやらせてもらったり。
スウェーデンでもブラウンを釣ったり。
* 渓流ではフライフィッシングでブラウントラウトを狙った スウェーデンにて
* ドライフライで釣ったブラウントラウト スウェーデンにて
あとパーチも好きなんですよね。パイクがよく捕食する対象になっていて、同じところにいたりするので。
これも一緒に楽しめると嬉しいですね。
* ナイスサイズのパーチ。この魚もスウェーデンでは定番釣魚
K:
ところで、ちょっと話は変わりますが。。。時川さんのホームページでプロフィールを拝見させていただいて
音楽から、料理から、そして釣りにイラストにと多彩な経歴に驚いていたのですが、
その中でも釣りとの出会いはどんな感じだったのでしょうか。
Tさん:
そうですね。小学生の3年生くらいですかね。時期的には、「釣りキチ三平」世代ですし。
ただ、それがきっかけで始めたわけではないのですが。
子どもの頃、喘息で体が弱くて。釣りも好きだった親父が川とか池とか、郊外に行けば
空気もきれいだし、のんびりするし、体調もよくなるのではということで連れ出してくれたのが最初ですね。
クチボソかなんかだったと思いますが、釣れた時の楽しさで一気にはまって。
それから、「釣りキチ三平」とかも読んで、さらに夢中になって。それと昆虫や動物なんかも大好きでしたね。
K:
以来、現在に至る?
Tさん:
高校生の頃は一度遠ざかったのですが、小学校低学年の頃の原体験があったのでまた釣りをするようになったという感じですね。
K:
様々な方にインタビューをしていると、子どもの頃に釣りや釣り以外でも昆虫やザリガニやカエルなどの生き物を捕まえたり
とかの原体験があって、一旦離れる時期があった後に大人になって釣りに戻ってくるケースが多いんですよね。
それと、「釣りキチ三平」とか、開高健さんの本とか。世代による違いはありますけど何らかの影響を受けている方も多いですね。
Tさん:
僕は、開高さんについては、「オーパ!」はあまり影響を受けなくて
どちらかというと、他の釣行記の「もっと遠く!」とか「フィッシュ・オン」には興味持った感じで。
「オーパ!」は図書館で借りたんですけど、なんか怖いな~とか読みにくい文だな~といった印象の方が強くて、
パラパラ見ただけで返却しちゃった記憶があります( 笑 )。
「釣りキチ三平」では、3巻だったかな、「夜泣谷」のイワナの話を読んで。
イワナは川の一番上に棲んでいて、当時小学生の僕はイワナが一番すごい魚なんだって思っちゃって。
その辺で基本トラウト好きになって、「いつかはイワナ!」って思って。
でも、当時は埼玉に住んでいたんですけど父親に教えてもらいながら最初はフナを釣っていて、
それに馴れてきたら名栗川でウグイを釣りに連れて行ってもらって。でも、山のイワナはまだまだ早いぜみたいな。
K:
ははは~
そんな子どもの頃の釣りの原体験だったわけですね。また話は飛んじゃいますけど。
今は、沖縄にお住まいということですが、現在の日常の釣りはどんな感じなのでしょうか?
* フライでときどき釣れるアオヤガラ。インリーフフィッシングの珍客
* カサゴによく似たこの魚はイソゴンベ
Tさん:
場所としては、普段は車や原付ですぐ行けるような近所ですね。インリーフの釣りっていうんですけど、サンゴ礁で囲まれていて。
その内側って穏やかなんですね。そういうところに立ち込んで、小型のハタ類とか、それ以外にもいろいろと釣れてくるんですけど。
ムラサメモンガラっていうカラフルなカワハギみたいな魚とか、オジサンとか、フエフキダイ系の魚とか。
サイズ的には大きくはないのですが、その辺の中・小物釣りがメインですね。
後は、時期によってタチウオやったり、イカやったりとか。ときどきボート釣りなんかもしますよ。秋にはシイラやったりとか。
* ダーデブルのミジェットで釣ったイシミーバイ( カンモンハタ )
* ABUのスプーン・トビーのオールドもので釣ったムラサメモンガラ
* オヤビッチャ。こちらもオールドのトビーで。ダーデブルもだが、オールドの味わいを楽しむだけでなく、
使いやすくよく釣れるので定番として使っている
* 秋から冬にかけてはシイラ釣りが楽しい
* 引きのものすごさから沖縄では大人気の釣魚タマン( ハマフエフキ )
K:
そのインリーフの近所の釣りって楽しそうですね。
Tさん:
干潮のタイミングを計って、ポイントまで歩いていってという感じで。で、渓流とかと違って水が温かいので、
海外のソルトウォーターなんかもそうですけど、冬場とかは除いてだいたいウエーダーも履かずにジャブジャブと入っていって。
しかも昼間なので、海も青々ときれいに眺められて気持ちがいいんです。
釣りプラスそういう雰囲気を楽しみに行くみたいなところがありますね。
釣りっていうと大物狙ってみたいなのが主流なのかもしれませんけど、そういう釣りではなくて
のほほ~んとリラックスタイムを求めにいく感じで。
K:
いいですよね。うらやましいです、そういう感覚で近所で釣りができるなんて。
釣りは一つのきっかけで、自然の雰囲気に浸りに行くような。
都会で釣り場が遠いと、ついつい釣りするときにガツガツと釣果を求めちゃいますしね。
私の個人的な最近の感覚なんですけど。大物を釣りたい、数を釣りたいという気持ちがなくなったわけではないのですが、
何かこの川の自然はいいなとか、そんな自分の気に入った場所で平均大のネイティブな魚がそこそこ釣れたら、
それで十分に幸せだな~っていう思いが強くなってきまして。
Tさん:
なるほど。
僕の場合はもともと旅好きなので、自分の好きな魚がいたら、ここでも釣れるんだな~
じゃあちょっと行って釣ってみたいなっていう感覚ですかね。
大物を狙いたいなら、ここみたいな場所ってあるじゃないですか。
例えばアラスカみたいに、しかるべき場所へ行って、ガイドを付けてみたいにすれば、
ある程度望んだ大物にたどり着きやすいと思うんですけど。もちろん絶対ではありませんけどね。
そういう感じではなくて。アイルランドなんかも、You Tubeでたまたま見つけたんですけど、
古城の前で釣りをしている画像があって、何か面白いな~って思って。
で、実際に映像に映っていたところへ自分が行った時の感動とかも楽しくて。
* youtubeで見た湖の小島に残された古城跡を前に釣り。夢が実現! 2016年アイルランドにて
K:
大物ありきという目的から逆算するのではなく、釣りたい好きな魚と今まで行ったことのないその魚のいる背景や土地の
雰囲気を含めての旅を味わうっていう感じでしょうか。いいですよね~
Tさん:
そうですね。本当に来ちゃったな~って。
後は、マニアとかコレクターじゃないんですけど。道具とかも、こういうので釣ったら楽しいだろうなっていうのが個人的にあるんですね。
先ほどパイクがスプーンで釣れたっていう話しましたけど、カナダなんかの雑誌を見てると
昔からあるダーデブルの赤白のスプーンでパイクを釣った写真とか出ていてかっこいいなーって。
今はカナダでも北欧でもバスやシーバスなんかで使われるようなビッグベイトでパイクを釣る人も多いようなんですけど。
僕はビッグベイトよりも、昔、雑誌で見たダーデブルとかで釣ってみたいなって。
アイルランドの釣りでは実際に古いスプーンを使って、バラシちゃったんですけど、
かけることはできたので再挑戦したいなって思ってますね。
K:
その気分、わかりますね~
Tさん:
それと、パイクもそうですが、沖縄のリーフの釣りでもスプーンって使えるんですね。
万能なんですよね。タックル自体は、今のものを使ってますが、ルアーはABUのトビーとかを使ってこっちでも釣りしてますから。
( 前述、沖縄の釣りの写真を参照ください )
* 地元のコレクターに見せてもらった古い広告。味わいのあるイラスト 1998年年スウェーデンにて
* スプーンコレクションの一部。コパーカラーのものが多かった( 本人の好み? ) 1998年スウェーデンにて
* 箱絵にもパイク。箱だけでもほしい! 1998年スウェーデンにて
K:
へぇ~ 面白い話ですね。そうなんですね。
Tさん:
それが楽しいっていうか。マニアの人からすると、もったいないからそれ投げちゃだめ!みたいなのでも僕は平気で投げます( 笑 )
K:
今でもダーデブルとか持ってますが、私はマニアじゃないのですが、ロストが怖くて大切にしまっちゃってます( 笑 )。
Tさん:
僕は、なくなってもしょうがないかなっていうのと、ルアーに感情があるわけではないけど、
やっぱり生涯現役でいたいのじゃないかと( 笑 )。
オークションとかで古いルアーを買うことがあるんですけど、高いお金を払うのではなく
不人気なものをこれぐらいなら買ってもいいかなって。
数十年前の物を買って、で、投げる時に心の中で話しかけるんです。「君も水の中を泳ぐのはしばらくぶりだろう?」って。
それで釣れたら、ルアーは「魚にかみつかれたの久しぶりですね~」って笑いながら返してくれるんじゃないかって。
K:
ははは~
Tさん:
一人、海に立ち込んでニヤニヤしながら釣りしてますね。
K:
ははは~ 面白いっすね~
Tさん:
そんな感じで遊んでますね。勝手に自分の釣りを楽しんでいる感じで。
いまだにフライはトラウトのイメージが強いと思いますが、パイクをフライで釣るのも好きで。
その場合は、15cmとか20cmくらいの大きなフライを使うんですけど。
そんな大きなフライでパイクみたいな変な魚が釣れるのが面白いんですよね。
* アーキペラゴと呼ばれるストックホルム群島まわりの汽水域で釣ったパイク 2015年スウェーデンにて
* レンガ色のサマーハウスが緑に映える。こんな絵本に出てきそうな風景の前でパイク釣りを楽しんだ 2015年スウェーデンにて
ルアーは、どっちかっていうと小さいのが好きで。あまり重たいものを持ったり、かさばるのが好きじゃなくて。
何事につけてもコンパクトなものが好きなんですね。車も軽のハスラーに乗ってますし。
K:
何となくわかりますね。大げさな感じって何か疲れますしね。
Tさん:
ロッドもパックロッドが昔から好きで。ルアーとか、小さいのをポケットにねじ込んで、ぷらっと行くみたいな。
そういうノリが好きで。フライだと大きくても軽いところがいいですね。
K:
トラウトのルアー、特にスプーンが好きで。僕もなるべくタイプも色数も少なめで
可能な限りコンパクトに、必要最小限で釣りしたいみたいのがありますね。
Tさん:
僕は、対象魚や釣り方に合わせていろいろと道具を揃えていくというよりも、
1本のロッドがあったら、これでどれだけの遊びが楽しめるかな~ どれだけの魚と遊べるかな~っていう感じが好きで。
もともとルアーにのめり込む前は、親父がくれた振り出しの渓流竿1本であちこち行ってたのですが。
東京以外の場所に住みたいっていう思いが昔からあったんですね。
20代のころから。何か、世の中で東京が中心っていうのがすごく許せなくて。
許す許さないの話じゃないですけど( 笑 )、東京が中心というのが当たり前みたいじゃなくて、そうじゃない生活がしてみたくて。
で、一時は佐渡に行ったり、和歌山や沖縄に行ったり。ちょこちょこいろんなところに行きながら住むならどんなところがいいか
探している時があって。やっぱり水辺に住みたいなって思っていたので、海とかよく行ってたんですね。
そんな時、必ず振り出し竿を忍ばせて、行った先々で玉浮子1個つけて、針1本で。
同じ仕掛けで「ここでは何が釣れるかな、あそこでは...」っていう感じで。
釣り方がルアーになっても、フライになってもノリは同じですね。
K:
釣り具がどんどんと対象魚別に多様化、分化していってますよね。
メーカーの商売目的だけではないでしょうけど、進化でもありますから。
釣りの効率を考えると使う側は便利になった面もあるけど、初めて釣りをしようという人にとっては、途方に暮れるというか。
釣りって、ジャンル毎にこんなに別に揃えないといけないのかって、驚いちゃうでしょうね。
Tさん:
そうですね。20年前には、アジングロッドやエギングロッドとかなかったですからね。
メバルとかもトラウトロッドで工夫して釣ってて。そういうのを経験してるわけですけど。
一方、いまだにフライの世界は何番だったら、何にいいとか。おおらかで細分化されていなくて気が楽ですけどね。
後は、10年前、20年前のロッドを平気で使ってますよね。
K:
そうそう壊れないので、僕もそうですね。
Tさん:
基本的にモノは壊れるまで使うタイプなんですよね。あんまり新しいのが出たからどうのっていうのはなくて。
だから、フィッシングショーも新製品チェックというよりは僕は友人知人に会いに行くという感じです(笑)。
ただ現行のロッドやリールを使う一方で、昔から好きでカーディナルの33を使っているんです
けど、たまたま見つけたスプールがPEラインを使うのにスゴクよくって、
そういうパーツとか新製品はありがたいな~ なんて感謝しています。
K:
ちょっと海外の釣りに話を戻しますけど、海外については思いついたら行くって感じなのでしょうか?
Tさん:
そうですね。行きたいところはたくさんあるんですけど。時間と予算の問題もありますし。まあそう簡単には行けないですけど。
とりあえずパイクを中心に考えていますけど、ソルトウォーターとか、トラウトでもいくつか行きたいところがあって。
順番にと思ってますが、年齢も50を過ぎているので、そんなにのんびりはできないんだけど( 笑 )。
* バス釣りを楽しんだレイク・トホのマリーナで名物のモーニング・サンドウイッチ 2018年アメリカにて
* 日本のバスレイクと違い、たまにワニが浮いてきたり、アリゲーターガーが釣れちゃうのだ 2018年アメリカにて
たまたま先週は仕事だったのですが、アメリカに行っていて。
普段自力ではなかなか行けないターゲットなんですがターポンの釣りに連れて行ってもらったりとか。
後は、半日だけフロリダバスも誘ってもらったんです。もともとバスをやっていたので、すごく嬉しかったですね。
借りた道具で、ルアーもバス用は持ち合わせもなかったんですが、マリーナの売店でたまたま、昔からあるデビルズホースっていう
トップウォーターのダブルスイッシャーを1色だけ選んで投げてみたら3匹釣れて。
* なんとトリプルヒット! 2018年アメリカにて
* マリーナで買ったデビルホースで釣ったフロリダバス 2018年アメリカにて
K:
いいですね。そのたまたま感が( 笑 )。
Tさん:
何か、ひらめきがうまい具合に当たったみたいで。
後は海外だと、誘われてなのですが、これまでパイク以外だと、前にサンスイで働いていた友だちにメキシコの
ユカタン半島にボーンフィッシュ行こうって。
毎年毎年誘われたんですけど当時は予算面でもムード的にも敷居が高い気がしてなかなかウンとは言えなかったんですよ。
でも4年目くらいかな。断り切れずに、じゃあ行ってみますっていうことで行ったらものすごく楽しかった。
その1回しか行ってないですけど、その時にソルトウォーターのフライフィッシングの面白さに目覚めた感じはありますね。
* 小さいが初めて釣ったボーンフィッシュ。うれしい!! 2005年メキシコにて
* ロッジ前の海で朝日をながめながらルアーをキャストするとジャッククレバルが釣れた 2005年メキシコ
* 立ち込んでいるとカブトガニが現れた 2005年メキシコにて
もともとトラウトと並行して、ソルトのフライは日本ではメバルとかはやってはいたんですけど。
あんまりサイトフィッシングってピンときていなかったんですね。
だけど、やってみたら面白かったですね。サイトの釣りも楽しいな~って。
* ロッジの朝食。豆を使った料理がおいしかった 2005年メキシコにて
* ロッジの食堂で、接客担当のアウグスティン( 下ネタ大好き )と 2005年メキシコにて
* セルベッソ( ビール )は飲み放題。毎晩タイイングなどしながら他のゲストとの会話を楽しんだ 2005年メキシコにて
K:
ボーンフィッシュのフライはハマる人はハマるって言いますよね。
Tさん:
僕は、亡くなられましたけど西山徹さんがいまだに大好きで、西山さんもクリスマス島によく行っていましたね。
ボーンフィッシュは機会があれば、また行ってみたいですね。
K:
いいですよね~ たっぷりお話を伺ってきましたけど、最後に何か補足ってありますか?
Tさん:
バカみたいなんですけど、パイク釣りに行った時に地元のパイク好きと交流したくて、
プレゼント用にパイクのステッカーをわざわざ作ってもっていって。
スウェーデンに行った時は、 スウェーデン最古の釣り具屋さんに持って行ったら、すごく気に入ってくれて、
すぐその場でお店のレジ真ん前のショーケースに貼ってくれたりとか。ただの" パイクばか "です( 笑 )。
* 地元のアングラーたちとの交流用にと持って行ったパイクステッカー 2015年スウェーデンにて