vol.28 IGFAルールで獲りたい!ターポン篇
2019年05月06日 16:00
今回のゲストは、海のフライフィッシングにハマッているという三田さん( 東京都在住:以下、Sさん )です。
海外釣り旅では、コスタリカへターポンを釣りに。一方、普段は東京湾のシーバスフィッシングを楽しまれているとのこと。
そこには、どんなこだわりがあるのでしょうか? 早速、お話を伺います!
インタビュアー 工藤( 以下、K ) 2019.2.2
*ターポン:2018年 コスタリカ 165lb on fly
K:
本日は、よろしくお願いします。
早速ですが、ソルトウォーターのフライフィッシングにハマっていると伺いました。かなりキャリアは長いのでしょうか?
Sさん:
こちらこそ、よろしくお願いします!ソルトのフライですが、始めたのは、ごく最近なんですよ。2007年からで。
釣り自体は、小学6年からですが、海フライは10年ちょっとなんですね。
もともとフライには興味があったのですが、これやったら地獄になるな~って。
フライっていうと、まずトラウトにいくじゃないですか。サバロっていうクラブに在籍してまして。
*なつかしの90年代アングリング誌です。。。この記事に憧れ入会。。。
K:
はいはい。有名ですよね。丸橋英三さんの。
Sさん:
そうです。なので、僕の周りは毛針を海に投げ込む変人が多いんで。たぶん、そっちの方向に行っちゃうだろうから。
これはお金かかり過ぎでまずいと。絶対にやらないようにって思っていたのです。
きっかけが、2006年だったかな。4回目のコスタリカに行った時、僕はルアーフィッシングだったんだけど。
一緒に行ったスローテーパーの林さん、ブラックバスのトップウォーターで有名な方なんですが、
ルアーに加えてフライでも釣りをされていたんです。で、フライで釣れたのがとても幸せだったみたいで。
帰りの飛行機で、つり人社から出ていたソルトウォーターのフライ本を隣で、しあわせ100%で読んでいるんですよ。
K:
ははは~ それに影響されてしまった!?
Sさん:
はい。これは、相当面白いんだろうなって。さらに、東京湾のシークロ岡本さんのチャーター船で。
フライでシーバスやりたい方はみんな乗りたいって言う船なんですけど。
フライではナイのですが、その船でクロダイの落とし込み釣りをやったんですね。
ドラグもついていない、1対1のリールで。それでクロダイかかったときのファイトがステキで面白くて。
これってフライフィッシングでやると、きっとこういうしあわせが常にあるんだろうな~って思いまして。
*これは、きゃわぁぃぃぃ可愛いクロダイ♡ 東京湾
さらにさらに岩井渓一郎さんが、イワイミノーを開発、東京湾でイワイミノーでスズキが。。。、
それもトップで出ますっていうのを見て。これはやるしかないなと。
K:
岩井さんって、渓流のトラウトのエキスパートですよね。そっち方面にも行かれたんですね。
Sさん:
イワイミノーは、そもそもブラックバスを釣るために開発されたようです。
ブラックバスが釣れて、なおかつスモールマウスバスの反応がすごくよかった。
で、スモールマウスバスにいいものは、得てしてシーバスにもいいとイワイミノーを2006年位に岩井さんが東京湾に持ち込んだら、
たくさん釣れて、DVDが出たりして。多くの人が東京湾にフライロッドを持ち込むようになったんですね。
K:
へぇ~ そういうことになっているんですね!
Sさん:
はい。そおんなわけで、僕のフライのスタートは東京湾なんですよ。で、あまりにも奥が深くて、今も継続していて。
「三田さん、好きな海はどこですか?」って聞かれたら「実は東京湾です」って答えるくらいで。
*東京湾フライトーナメントでの一幕 東京湾バンザーーイ
K:
なるほど~ いいですよね。大好きなフィールドが身近にあるっていうところが。
ところで、最初の海外釣り旅がいつのことですか?
Sさん:
そうですね。1991年、卒業旅行にタイに行ったんですよ。釣り竿を持ち込んで、タイをあちこち釣りする中で、その時一番の目的に
していたのが、ピーピー島で、プーケット島の近くの。
K:
セイルフィッシュですね。セイルフィッシュは、釣れた?
Sさん:
残念ながら、セイルフィッシュは釣れなかったんです。釣れたのは、1mのダツ。
日本でも、いる魚なのですが、ブラックバスしか釣ったことがなかったので僕にとっては、トロフィーだったんです。
さらにに簡単には釣れなかったので、感激しました。タイをあちこち20日間、海だけでなく、川でも池で湖でも
何も釣れなくて。ピーピー島でも最初の2日間はかすりもしなくて。3日目にやっと釣ったという。
K:
長い道のりでしたね~( 笑 )
Sさん:
まあ、それがきっかけで、こんなつり人生になっちゃった( 笑 )。
K:
ははは~
最近では海外へ行かれる場合は、海のフライでどこへ行って、どんな魚を釣ろうかという感じなのでしょうか?
Sさん:
そうですね。昨年行ったのが中米コスタリカ。カリブ海側の海です。最初の頃行っていたのが、カサマロッジっていうところで。
その世界では割と有名なビル・バーンというアメリカ人がオーナーで。
で、彼が亡くなられて、結局そのロッジがなくなってしまって、今はシルバーキングロッジに行っていますね。
K:
そこでの釣りのターゲットは、主にターポンですよね? それだけ通うということは、かなり釣れるのでしょうか?
Sさん:
そうですね。いい時に行くとすごいですよ。
*ゆうぐれ時のストライク、感動的 2018年秋
天気さえよければ、たくさん釣れます。ただ、たくさん釣れることは幸せではあるけど
あえてルールにこだわってやってるんですよ。それは、IGFAルールに準じたフライフィッシングということなんです。
このルールだと、ティペットがMAX20LBなんですよ。
20LBで、100LBを超えるターポンだと、フッキングでかなり切れてしまうんですね。
K:
へぇ~ 厳しいですよね。
Sさん:
ターポンは口が硬いので、フッキングがとても重要なんですけど、強くやりすぎると切れるし、弱いとジャンプではずれちゃうし。
K:
そのバランスは、すごく難しそうですね。ビビりそうだな~
Sさん:
そうですねー~。たいてい暴力的な当たりですよ。そして、うまくいかないと、ドツボにハマっちゃうんですよ。
あ~、また、かからない~とか。あーーまた切れちゃった~とか。
IGFAルールって、もともとアメリカ人が作ったもの。。。でも、それを守ってやっている欧米人は少なくて。80LBとか直結で。
それだと、合わせ切れもなし、ファイト中も切れることはなし!取れて当たり前かな。羨ましいけど・・・
K:
ある制約やルールがあるからこそのゲームの楽しみなんでしょうね。
Sさん:
そうですね。加えて課したルールの中で、何分で獲れるかっていこともあるんですね。
そこには徹底してやっていて。今回はたまたま9匹釣り上げることができたんですが、考えながらやっていたのが面白かったですね。
体力勝負だけではないのですよね~。自分の中では、「30、40分あれば上げられるもんだろ」って、やったんだけど。苦戦。
最初の1匹目、2匹目、3匹目では、1時間超えちゃいましたし。
*初日の120lb 1時間ファイト いっぱいいっぱいでした
K:
ターポンは、すごくタフらしいですね。
Sさん:
あのしつこさったら、いやですね。嫌らしいタフさは、シイラに似てますね。
シイラも、しつこい引きや、あと10mでへばりついて上がってこないとかが、あったりするんですが。
ターポンがさらにいやらしいのは、空気吸わせても弱らないし、逆に空気吸いに上がってきたり。
古代魚で、空気呼吸ができるんですよね。
でも、僕的には、空気を吸いに上がってきたところがチャンスだと思っているんですよね。
*ターポンジャンプ!実際は写真の1万倍の超迫力
K:
なるほど。そこが狙いどころだと?
Sさん:
魚の頭の位置がどっち向いているかも見えるし、もともと底にいたものが上がってくるので、間合いが詰まっているので
魚に対して効果的なプレッシャーをかけられるチャンスだと思うんですよ。それと、とにかく魚が嫌がることをやり続けるという。
*ここからまだまだ時間かかります。2018年秋
K:
そうでもしないとタフなターポンを上げられない?
Sさん:
そうですね。
ただ、釣りの世界でよく言われてるのは、魚が嫌がることをやり続けるためには
力いっぱい引きましょうとか、お前が苦しければ、魚も苦しいんだとか。力任せ的な話が多いように思いますが、、、
僕は、100%違うとは思わないけど、大切な事があると思うのですよね。
プレッシャーかけるタイミング、角度、時間帯、体の使いかた、間合いなどなど等、そんなことばかり考えてやってましたね~。
K:
ははは~ どんどん深みにハマっていく( 笑 )。
Sさん:
まあ、あれだけ自分が試される魚はないですね。
*2018年コスタリカ 165lb on fly
K:
あーでもない、こーでもないと試しながら、段々と自分の納得度が高まっていくような。そういうプロセスが面白いんでしょうね。
Sさん:
そうです! で、いろいろ考え、実践、トライ&エラーですね。
魚の状況を見て、ガイドに宣言するんですよ。「後5分で絶対獲るから」って。獲れないんですよね~、これが。
K:
ははは~ その時はそう思うわけですね?
Sさん:
もう弱ってるなー、そう見えるんですよね。射程内にあるし。ふわって上がってきて、力もなくなってきて誘導できるかな~って。
魚の姿が見えていれば、こっち側に引っ張ったら抵抗できないよな~と引っ張る角度とかも考えてやってるし。
いざ、船が目の前に来ると、ダーンっと行っちゃうんですよね。
それとシルバーキングロッジの船って、いい船なのですが、フライロッド向きじゃないんですね。
竿折っちゃう、やばい!っていう状況になっちゃうんですよね。
K:
それは、ボートの形の問題でしょうか?
Sさん:
そうですね。
船の先端のところが長くて、竿先がグッと入る余地が多い、先端まで行ける足場がなく、かわすのが難しい。
魚が大きくなければ問題ないのですが、魚がすべて大きいので恐ろしい瞬間ですね。
ただ、やっているうちに、やばい状況につながらないような、やりかたに改善できていく。。。
K:
それも段々と学んでくる?
Sさん:
そうですね~。考えてばかりですからね~。年の功です( 笑 )。
おかげで、 終盤は30分以内で何とかキャッチ。でもマダマダ。。ターポンはそんなには甘かぁない!
*25分でキャッチ。145lb 2018秋
あと、20LBのラインでやっているので、10kgで切れる。ということは、MAX9.8kgくらいまでは圧力かけても大丈夫だとか。
で、さすがに、9.8kgで魚を持ち上げることはできないし、そもそも竿が折れちゃう。
どれだけの加重をかけているかを考えながらてやってますね。
いつも釣行の前に、家のリビングでペットボトルに水を入れて2リットル(ほぼ2kg)だったら、これくらいの重さとか。
フライロッドで持ち上げて感覚をつかむわけですね。3kg、4kgはこのくらいって具合に、体に覚えこませる。
K:
それ、絵的に相当面白いですね。その写真が欲しい( 笑 )。
*いとハズカシ(*^▽^*))これは2.5kgまだまだ!
Sさん:
2kgなんて軽そうですが、フライロッドだと、すっごい重いんですよね。びっくりしますよ!
テコの原理やら、ガイドがたくさんついている抵抗からなんでしょうね。ルアーロッドだと片手で簡単に上がるんですけど。
で、そんな重い2kgなんですが、それくらいのプレッシャーではターポンは寄らない。
3kg、4kg・・・6kg?!くらいは普通に手でロックさせて寄せて来るんですよね。その過程や実践も面白いんですよね。
誰がやってもつれますじゃ、面白くない。
PE7号で短いロッドでやれば誰だって普通に釣り上げますよ。どんなデカイ ターポンでも。
最近のつりはそんな世界ですよね~。羨ましいけど、どぉなんですかねぇ~(笑´∀`)
K:
なるほど~ 深いですね~
Sさん:
僕も古い人間なので、釣りは単にその場所に行ってお終いっていうのではなく、準備がとても大切ってだな~って思うんですね。
師匠の丸橋さんが海外釣行について書いている古い寄稿に、心に響いた言葉があります。
それは、「たった5日間のために、1095日を費やす」。
年に海外釣行へ何回も行ける方もいますけど、年に1回とか。精々、3年に1回とかじゃないですか。
丹念な長い準備もしあわせの連続。もちろんステキで貴重な機会のための。。
K:
わかりますね。貴重な機会ですものね。後悔したくないし。準備は完璧って思っていても、それでも悔しいこともあったりして。
次の何百日後に思いを馳せる( 笑 )。
ところで、直近のコスタリカでは、9匹を釣り上げたとのこと。
三田さんの釣りのテクニックの成長や積み重ねてきた釣行の経験値が一番大きな要因と思いますが、
ターポンはまだまだ豊かな量が生息しているのでしょうか?
Sさん:
コスタリカでのターポンのやりとりについて、話をしてきましたけど、コスタリカの海も数が減ってきているのか、
傾向としては、ターポンが釣れなくなってきていて。残念なことですが。
K:
ターポンは、あまりおいしくなくて食用としての価値がなく、漁業の対象にならないので、
数があまり減らずに保たれているように聞いていますが、どうしてでしょうね。
Sさん:
どうなんでしょうね。
この村では、このターポンという魚がいるから、我々のようなツーリストが世界中から来て、お金落としますしね。
ガイドには高価なチップ。ロッジで働いているスタッフもたくさんいるし。
村の人口も約3000人とか、増えているんですよね。元々は電話も通っていなかった場所ですけど。
なので、ターポンは殺しちゃだめだよなっていう意識はとても高いですね。
で、最初に行った時には、ジャック・クレバルというGTに似た魚がたくさん釣れたんですよ。
おいしくて、商用価値がありキープされることが多いんでしょうね。結果的に今では、ほとんど釣れなくなってしまいました。
K:
ターポン以外でも、特定の魚が極端に減ると生態系に影響が出るのかもしれませんね。
Sさん:
それと、スヌークも最初行った時は、えらい釣れましたね。これ1996年に初めて行った時の写真なんですけど。
ちょっとした小さな川の河口の海岸だったんですね。でも、今はまったく釣れないですね。
ぱっと見、スズキみたいじゃないですか。スズキと比べるとえらい引くんですよね。すごい美味しい魚で。。。
K:
太いというか、厚みのある魚体ですよね。
Sさん:
この魚はサイズ的には、90cmくらいあるのでそう見えますが、小さいのはスレンダーですね。
その当時は、実はスズキも釣ったことがなかった。海のつりは海外だけでしたからね (笑´∀`)。
その翌年97年くらいから、東京湾でスズキを釣るようになって。スズキって引かないな~、つまんないな~っていうのが
今では愛して止まないスズキ様の当初の印象なんです。
K:
ははは~ これは、フライですか?
Sさん:
これは、ルアーですね。この当時は、ルアーフィッシングしかやっていなかったので。
最初行った、ヘタクソなころ(今もまだまだですが・・)ですね。見てください、このへっぴり腰!( 笑 )
*1996年コスタリカ マイfirstターポンさま90lb
K:
いい写真じゃないですか!( 笑 )ターポンは、コスタリカ以外でも釣りに行ったりしていますか?
Sさん:
米国フロリダは憧れ中。。。
ベリーズでも、居るのでやったりはしますが、まあ結果コスタリカだけですね。
ベリーズは、どちらかと言えば、パーミットとかボーンフィッシュかな。
2007年に一度目のベリーズに行った時はまだフライを始めたばかりヘタクソで、ボーンフィッシュしか釣ることができなくて。
K:
ボーンフィッシュだって、かなり難しいんじゃないですか?
Sさん:
一回目のベリーズでは、ターネフィーフラットっていうところに行ったんですけど、ボーンフィシュはたくさんいてビギナーも楽しめますよ。
ガイドとウエーディングしていって、魚を見つけてサッとフライを落とせば釣れましたから。
K:
いいですね~
Sさん:
ただ、風が強くて。当時は本当に下手だったので、すぐラインがぐちゃぐちゃに絡んでしまって。
今だったら、飽きるほどたくさん釣るんでしょうけど。悲しい状況でしたね~
K:
フライを始めたのは、2007年とのことですが、
ルアーとは言え、1990年代から海外へターポンを釣りに行ったりとかは先駆け的な感じですよね。
Sさん:
当時は、釣りで海外へ行くって言ったら、すごい変わった変な人っていう扱いされました。悲しいくらいに。。。
K:
今でも一般的には、変り者だと思いますけど( 笑 )。
1990年代、海外で海のルアーと言えば、GTがブームになっていった頃ですよね?
Sさん:
そうですね。僕も始めは、GTやってたんですよ。
* これは1992年ミクロネシア ポナペ ナイロン20lb♥
最初にGTをやったのは、会社に入社した1年目の1992年1月だったかな。
オーストラリアのグレートバリアリーフに行ったんです。
これが、僕にとっては、いきなりの本格的なソルトウォーターフィッシングでした。
シイラはおろかシーバスも未体験でしたから、まあ、恥ずかしい事ばかりですね~
だって、最初にGTが掛かった時、何て言ったかっていうと「このリールが壊れている。巻けない!」
K:
ははは~ ものすごい走りのスピード、パワーっていうことですよね?
Sさん:
はい。
ポンピングして巻くっていうのは理解しているのだけど、あまりにポンピングが下手過ぎて巻けないんですよ( 涙 )。
K:
ドラグの調整が甘かったりっていうことではない?
Sさん:
じゃないです( 涙 )。優秀なクルーがドラグ調整はやってくれていて。何事もいたれりつくせりで後は釣ってくださいっていう状況で。
バリークロスっていう当時有名なキャプテンのクルーザーで。。。
PEラインがない時代で、一般的には、ナイロンの20LBラインとかを使っているから、GTが掛かっても根ずれで切られちゃうですよね。
しかし、バリーの船だと、魚かかるとすぐに追っかけてくれて、魚の真上にいる状態を作ってくれるんですね。
K:
取り込みやすくなりますよね?
Sさん:
う~ん、ありがたいのですが、魚が掛かると、クルーザーがすごいスピードでバックするんですね。
で、バックするっていうことは、水圧がかかるわけで経験不足な僕には巻けないんですよ。リールが。
そんな事が全くわかってなくて「これ壊れてる・・・」って。クルーにリールを見せたら、「壊れてねぇよ!」って、言われ。
恥ずかしい限りです( 笑 )。
*1992年 my first GT
K:
ははは~
でも、初めての大物とか、どうしていいかわからないですよね~
初心者には、GTはそもそも大変なのでしょうけど、いい釣り場だったんでしょうね。
Sさん:
GTだらけ楽園。でも腕が。。。この楽園は、今では釣りができないんですよ。
グレートバリアリーフでは、リーフ内での釣りは禁止で、アウターリーフに限定されているようです。
そして、この地域のクルーザー・チャーターはとても高くなり。1日で、25万円位はかかりますねー。
92年の当時は、1日5~6万円くらいだったと思います。
その時は、新入社員でしたので、その値段でも高いなって思いましたけどね。今思えば、とてもすごい経験ができたと。
*右が船長バリークロス、当時GT NO.1キャプテン 1992年
K:
いろいろと釣り場の状況も変化していくってことですよね。
Sさん:
海外の釣りが素晴らしいのは、例えばコスタリカ、釣れなくなってきたとはいえそれなりには今も釣れますし。
世界の有名な釣り場だったら同じように。
レギュレーションとか、ライセンス制度なんかがあって、魚に対する保全のためにっていうことが整っていますよね。
日本は先進国なのに何もない、悲しくて情けない!
*コスタリカのfishing ライセンス、新興国でも これが当たり前
K:
日本は、遅れているし、なかなか進まないですよね。
Sさん:
さっきベリーズの話をしましたけど、今ベリーズでは、ターポン、パーミット、ボーンフィッシュは
漁師さんは獲っちゃだめっていう法律があるんですね。制定は、10年くらい前かな。
ベリーズ国民が自発的にというわけではなく、たくさんのアメリカ人が入っているじゃないですか。
ターネフィーフラット( フィッシングロッジ)の米国人オーナーが動いて法律を作らせたってことなんですね。。
K:
モンゴルとか、カムチャッカとか。
世界中あちこちにアメリカ人が資本を入れてゲームフィッシングの概念とか、ビジネスを持ち込んでますよね。
賛否はいろいろあるかもしれませんが、結果、天然魚も含めた自然が維持されて、地元も潤えるように
なればいいことなのかもしれませんよね。
Sさん:
パーミットを釣りたいという釣りバカが何千ドル( 数十万円 )も落としていくわけですからね。経済効果は絶大!
話は変わりますが、私が普段よく行く東京湾も釣れなくなりましたね~
K
その話は最近いろんなところで聞きますが、やはりそうなんですね。
Sさん:
それは、釣り人もそうですけど、漁師の影響が大きいかな。
今まで見かけなかった漁師船がやってきて、僕らが釣りをやっている目の前で一網打尽に持って行ってしまう( 涙 )。
ただ、その問題を提起するシンポジウムなんかも開かれたり、僕も含め釣り人皆で発信し、改善されていくことを期待しています。
K:
そんな東京湾の状況も釣り人じゃないと、なかなか認識できないかもしれませんね。
魚が釣れなくなってきたというのは、シーバスフィッシングにおいてだとすると、特にスズキということですよね。
近年、漁業の対象として注目が高まっているんでしょうか?
Sさん:
そうですね。30年前とかは、絶対食べちゃだめな魚だったんですね。水銀の含有率が高くて。
K:
それが東京湾の水質が改善されて、食用として市場価値が出てきたってわけですね?
Sさん:
はい。僕たちが普段、スズキのポワレとか、お刺身を食べたりしますが。ほとんどが東京湾産なんですよね。
東京湾って、地形的にも、スズキにとって居心地が良い場所みたいで。
K:
世界的にも貴重らしいって、聞いたことありますね。それにしても、漁師と釣り人は中々悩ましい関係がありますね。
Sさん:
そうですよね~
僕にとって、東京湾のスズキは一番面白いな~って思うんです。
釣りを始めた頃は、海外の釣りは面白いけど、日本はね~~っと思っていたんですけど。
ず~っとやっているうちに、2010年位からかな。
海外も日本もあまり区別がないような感じにはなってきたのです。。。
*自己最高タイ。フライトーナメント前日プラでやっちゃいました(笑´∀`)
K:
三田さんの意識としてですよね? 何かきっかけになるようなことがあったのでしょうか?
Sさん:
そうなんですよ。
東京湾っていう存在が大きいのかな~
実際、パーミットをベリーズに釣りに行った時かな、本当に釣れないんですよ( 笑 )。
そういう時に何を思うかというと、「 あ~ 早く東京湾に帰りたい~ 」って。
*つれて良かった♥カリブ海のパーミット 至宝です。
K:
ははは~ 何しに来たんだろう~って( 笑 )。
Sさん:
だって、東京湾だったら、そこにバッとフライを投げてリトリーブしたら、ガツって来るだろうって。
当初は引かない魚で、つまんね~って思った話をしましたけど、今はスズキ釣ってるのが一番面白いですね。
K:
魚が少なくなってきたとはいえ、それなりに楽しめるレベルの数はいるわけですよね?
Sさん:
ギリですが、いますね。。。
面白いのは、うまくなるほど釣れるようになることですね。フライでも、ルアーでも。
*昨年2018年のシーバス ルアーであればふふふ。。。あまかないか(笑´∀`)
K:
そういう環境が身近にあるっていうのは、釣り人には幸せなことですよね。
Sさん:
そうですね。釣り場はすぐそこです。魚はたくさん、おもしろい!
そして、よく乗る東京湾の船のキャプテンなんですけど。いつもやってるとはいえ、ここまで差がでるかっていうほど釣るんですよね。
K:
へぇ~ そういうものですか?
Sさん:
同じルアー使っていている中で、僕が散々攻めまくった後に、同じ場所でバーンっと魚出しちゃいますから。
K:
すっごいですね!! 何が違うんでしょうね~
Sさん:
何でしょうね~。むかつきますよ( 笑 )。
さらに、キャスト難易度が高くて、僕が手も足もでないようなところでも船長は、中までスパーっと入れちゃいますからね。
穴打ちっていうんですけど、岸壁の下のすき間のようなスペースですね。フリップキャストで入れるんですけど。
船長から学んで、僕もかなりできるようにはなっているのだけど。
仮に僕らが、そういうすき間に7m投げられるとすると、船長は10mは投げられるわけです。
K:
その差が大きい?
Sさん:
僕の射程内には、魚がいないんですよ~ むかつきますね~
K:
ははは~ で、東京湾のシーバスは、フライでやったり、ルアーでやったりですか?
Sさん:
そうですね。気持ちの入れ具合はフライ8割、ルアー2割ですかね。行く回数では、フライ/ルアー半々ですけど( 笑 )。
東京湾の面白いところは、例えばチャーターボートもいろんなのがあるんですよね。
で、船長のキャラクターで、船の回し方とか、攻め方とか彼らの持っているフィロソフィ・拘りが全然違うんですよ。
そのフィロソフィ・拘りを聞きながらやるのが面白くて。同じポイントでも、船長が違うとこんなに考え方、攻め方って違うの?って。
K:
へぇ~ 面白いですね。どっちが上、下っていう話でもないのでしょうね。
Sさん:
そうですね。
まさに、フィロソフィとか、流儀、こだわりがあるんですね。
ルアーが得意とか、フライが得意とか。フライは少ないんですけどね。
たまたまいつもの船長が大会の時にどうしても出られないっていうことがあって。
で、最近知り合った別の船長の船に乗ったら、そのトーナメントで優勝することができまして。
*うれしいぃぃ!
K:
へぇーーー。すごい。
Sさん:
その時の船長の頑張りが成果につながったし、、、。
いつもお世話になっている船長から教わってきたことをたんたんとやった積み重ねの成果なんですよね。感謝ですね。
*キッカーfish、5匹又長合計、そしてリリース♥
K:
そのちょっとしたことの積み重ねですよね。釣りって、ちょっとしたことで大きな差がでちゃいますよね。
Sさん:
そういうのが面白いですよね。また話があちこち飛びますが、とても残念な話で。この間のコスタリカでのことなんですが。
K:
釣りの話では、残念な話もつきものですよね( 笑 )。
Sさん:
ははは~ 目的の一つに、12LBラインでターポンを釣ろうというのがあったんですね。
K:
ほ~ 相当大胆わけですよね?
Sさん:
ルアーというかコンベンショナルタックルなんですけどね。結局、持っていった竿をガイドが折っちゃって。
やることができなかったんです。残念なことに。
IGFAルールのコンベンショナルタックルの20LB以内ラインだと、ショックリーダーが4.5m、ダブルラインを含めると6mとれるんですよ。
なので12LBラインでも、先端に太い糸、つまりショックリーダーを60LBとかにしておけば
少なくとも4.5mの射程距離内・間合いに入れてしまえば、60LBで勝負できるんですよ。( 意外に4.5mって近い間合いなんですが。。。)
K:
なるほど~
Sさん:
その射程距離内に入れるぞっていう釣りも面白いんですよね。間合いに入れるなんて、宮本武蔵の世界みたいでしょ。
で、今はPEライン全盛時代になっているから、そぉいう楽しみがなかなかないかもしれないですね。
1990年代シイラを釣るために、12LB(ナイロンライン)でやっていて。20LBとかだとルアーが飛ばない。
なので、極力、細い糸で獲るにはどうしたらいいかってショックリーダーの長さがとても重要だったんですよ。
で、今になってみると、そんなレギュレーションでやることが面白くて。
100lbオーバーのターポンと12lbタックル、集大成として対峙したかったんですけどね~
K:
次回のまた楽しみにって感じでしょうかね。残念ですけど。
Sさん:
う~ん、そうですね~
また似たようなな話で、今一番真剣にやっているのが、8LBのティペットで
これはフライですが、シイラ、キハダマグロ、カツオの日本記録を取りたいなって。。。
K:
場所は国内? どのあたりで狙おうという。
Sさん:
久米島ですね。近場の相模湾とかだと、記録に値する魚がなかなか射程距離内に入ってこないんですね。
久米島だと、そういう魚がたくさんいてくださるんです。まだ、達成できなくて。
この前、やっと達成できたと思ったんですけど、ちょっと足りない( 笑 )。
K:
後、もう少しなんですね?
Sさん:
今の記録はそんなには大きくなくて、シイラの8LBティペットの記録は10.6kg(全長130cm位)なんです。
久米島では、そのくらいのサイズはそれなりに泳いでいて。記録達成の可能性は十分にあるのです。
8lbってギリでやればとても強いですよ。。。うまくやれば3キロ強のテンションかけられますし。
でも、そのときは、微妙な感覚が研ぎ澄まされてなくて。。。涙
釣行前のペットボトルぶら下げやってなかったんです。。。
K:
ははは~ ダメじゃないですか~
Sさん:
サイテーですよ。
絶対に記録だと思ってたので、怖くてプレッシャーかけられない。結局、2時間くらいかかった~。情けない。。。
K:
ひぇ~!!!
Sさん:
後、10mのところで膠着状態になって。同じことを1時間半くらいやってて。途中でオシッコしたり( 笑 )。
そうそう、ファイトの終盤イルカが現れ、あ~ 終わった~って思いましたね。
イルカが現れると、百発百中でダメなんですよね。食われてしまうので。
K:
ははは~ アタマいいすね~
Sさん:
そしたら、船長が「サンダル( 船長は、三田をそう呼ぶ・笑 )、あれはな~、種類が違うイルカやから大丈夫や」って言うんですね。
良かった、良かったと思っていたら、その数分後にサメですよ。まあ、サメは百発百中でもないし、糸を緩めたんですね。
そうしたら、底にいたシイラがひゅーっと水面に上がってきて。
サメに食われるのは嫌だし、テンション緩くなり上がってきたのでしょうね。
で、最後に糸が切れてもいいというようなギリテンションで釣り上げたんです。
長さ的には15kgありそうで、、やったーって思ったんですが、すごく痩せていて。10kg少し、記録に数百グラム足りない。
*顔は笑って、サングラスの奥はないてまーーす。
Kさん:
いろいろありますね~ 記録への道程では( 笑 )。
Sさん:
カツオは日本記録取れたと思ったら、8LBで切れる糸が切れなくて、結局それは12LBの日本記録になったんですけど(笑´∀`)。
*日本記録達成で貴重なお命を僕のために頂きました。普段だったらリリース
Kさん:
ところで、国内では普段は東京湾で釣ったり、たまに久米島行ったり。で、海外はコスタリカに通ってと。
今後もそのようなプランを描いているのでしょうか?
Sさん:
そうですね。どうかな~
今年は、まだ決めていないんですよねーー。また、パーミットをやってみたいかな~
K:
コスタリカは、今まで何回行かれたのでしょう?
Sさん:
えーと、イチ、ニー・・・7回ですかね。
K:
すごいですね~ コスタリカ通いはこれからも続く? それとも新たな釣り場を求めていく?
Sさん:
僕の周りには、毎年のようにコスタリカに行っている方がたくさんいますからね。たいしたことナイですね( 笑´∀`)
フロリダ、ルイジアナ、メキシコ、、、、キューバとかもイイかな~