vol.8 金銀独占!ドラード&シートラウトを釣る
2015年01月11日 10:00
今回は、アルゼンチンで金色に輝くドラードと銀ピカのシートラウト( 降海型のブラウントラウト )の
フィッシングを一度の旅で経験した村椙さん( 東京都在住:以下、Mさん )にお話を伺いました。
その他、10数回に及ぶ海外釣り旅についても、時間の許す範囲でお聞きしましたのでお楽しみください!
インタビュアー 工藤( 以下、K ) 2014年10月8日
* 初日に釣れた最大サイズ6kg程度のドラード
K:
あの~、釣りとは直接は関係ないのですが、トラウトアンドキングさん
( 海外釣り旅専門旅行会社:リンク参照 )のサイトの釣行記に掲載されている村椙さんの
写真なんですけどね。
サングラスかけているせいもあって、風貌がファンキーで。恐いおにいさんなんじゃないかと、
実は少しビビってました。お会いしてみたら、穏やかで優しそうで安心しました( 笑 )。
Mさん:
会社の周囲の方々からも、私のホームページを見て、釣りになると違うよね、
何かワイルドに見えるよねって言われています( 笑 )。自分としては、別に変わるという意識はないのですが。
K:
は、は、は~
ところで、国内では、普段はどんな釣りをされているんですか?
Mさん:
トラウトもやりますし、海も行きますね。いろいろ。同じところはあまり行かないですね。
トラウトでは、この間、丸沼( 群馬県 )に行きました。
その他では、湯ノ湖、中禅寺湖、芦ノ湖、河口湖。その辺ですね。
そして、たまに、川にも行きますね、新潟とか山形とか。国内遠征では、北海道や沖縄とかも。
K:
なるほど。釣り歴は長いんですか?
Mさん:
父が好きだったんで、4~5歳の頃からですね。父の実家の近くで、フナやコイを
釣ったり。小学生になって、ハゼを釣ったり。ルアーを始めたのは、小学校高学年か中一ぐらいからかな。
でも、社会人になって、10年くらいはほとんどやっていなかったんですね。
そして、また釣り始めてやっぱり面白いなと思って。で、一度、海外行っちゃったらもう。よく行くようになって。
K:
で、それから現在までの約10年間で10数回の海外釣行とは、すごいですね。
まず、私が今回、村椙さんとお会いしてみたいと思ったきっかけとなった、
直近( 2013年 )のアルゼンチンへの釣り旅について伺いたいと思います。
あのドラードとシートラウトの写真は、素晴らしいですね!
スピナーやスプーン、ミノーなどのルアーフィッシングとのことですが。特に、このドラードは迫力ありますよね。
Mさん:
アルゼンチン、よかったですよ~
前半の3日間が、首都ブエノスアイレスから北へ車で8時間程の
亜熱帯の大湿原を流れるパラナ川水系の支流でドラード・フィッシング。
後半の3日間が、ブエノスアイレスから空路で3時間半。
南米大陸南端のフエゴ島、リオグランデでシートラウト・フィッシングでした。
迫力あるって仰いましたが、アルゼンチンのドラードは、あんまり大きくないんですよ。
この写真( 本記事TOP掲載 )の魚は6kgくらいかな。ウルグアイとかは、15kgとか。魚が大きいらしいです。
K:
ほ~。そうなんですか~ 日本からすると地球の裏側のアルゼンチン。
しかも、2箇所で別種の魚を釣りまくるという、何とも贅沢な釣りで羨ましい限りです!
Mさん:
はい。遠くて、疲れましたけどね( 笑 )。
K:
は、は、は~
で、それぞれの釣りは、どんな具合だったのでしょうか?
Mさん:
ドラードは、先程お話したように、亜熱帯の大湿原のパラナ川水系の支流でのボート釣りで。
水草をかき分けボートを走らせて、転々と水路となっている流域を釣り進んで行きました。
湿原地帯には、カイマン( ワニ )も現れたり。南米らしい釣り場って感じで。
* パラナ水系、湿原の風景
下馬評では、ドラードは口が堅くてフッキングが難しいし、ヒットと同時に繰り返されるジャンプによる
バラシがすごく多いとのことだったのですが。シングルフックとトリプルフックを試してみて、
トリプルフックはバラシが増えるので。その後は、シングルフックで、終始、力いっぱい合わせるようにしたら、
それほどバラさずにキャッチできました。
また、確かにドラードのジャンプはすごくて。回数も多いし、派手で。結構、楽しめましたよ。
K:
いいですねー!
開高健さんの著書に出てくるドラードの派手なジャンプの写真とか、
アタマに焼き付いていますから。羨ましい! シートラウトの方は、どんな感じでしょう。
Mさん:
そうですね。
一方、シートラウトはアルゼンチンの最南端、つまり、それは世界最南端でもあるわけですが、
そこの大河リオグランデ川での立ち込みの釣り。一年中、風が強いらしく、私が釣りをした時も強風で。
期待していたペンギンには会えませんでしたが、ビーバーに出くわしたり。
釣りの方はというと。ルアー釣りに関するシートラウトの情報がなく、釣れるんだろうかと半信半疑で
始めたんですが、スプーン、スピナーともにアタリがあり、キャッチもできました。
ルアーでも十分釣りになりましたね。
* 8kg 雄の顎シャクレ、シートラウト ~ 7kg超えを合計4本をキャッチ
ショートバイトが多くてルアーは、その違和感によって、すぐ吐き出されたりと。
掛けても、掛かりが浅くてバラシ多くて。キャッチ率はドラードより低かったですね。
ただし、釣れるシートラウトは、すごく巨大。海でたらふく食べているんでしょうね。
すごく太っていました。普段は、日本のトラウト釣りしているんで。そのサイズの違いに驚きですね。
また、パワー、スピードもブラウントラウトとは桁違い。いわゆるサーモンのパワー、スピードでしたね。
K:
それぞれ、特徴が違っていて、面白いですね。
それと、釣りとしてはドラードより、シートラウトの方がよかったって仰って
いましたが。それは、どういう意味で?でしょう。
Mさん:
うーん、、、なんだろう? 風景かな~ 河口から数kmの川なんですけど。
海が見えるわけではないのですが、広大な草原地帯を優美に流れる大河で。
そのリオグランデ川の風景は、すごく私の好みだったからかな~
* 8kgシートラウトとファイト中
それと、シートラウトは歩いて、立ち込みの釣りだったからかな~
そんな素晴らしい風景の中で、大地に足をつけて釣り歩けることができたのは
すごく贅沢で楽しかったですね。ドラードはボートに乗ってのフィッシングだったので。
それは、それで楽しかったんですけど。
K:
それって、ありますよね。私も、自分の足で岸から立ち込んで釣る方が好きですね。
ボートよりも、魚の動きがビビッドに感じることができる。また、魚と一対一でファイトしているように感じますし。
Mさん:
そうですよね。
K:
それと、降海型のトラウトの仲間は、海から川に上ると段々と婚姻色が出て
赤くなりますよね。シートラウトは、どうなんでしょうかね。
僕は、釣ったことがないので分からないのと、あまり写真とかでも見ないんですよね。
Mさん:
そうですね~ 婚姻色が出ている魚はいなかったですね。
K:
そうですか。村椙さんが釣った場所が河口に近くて、海から入って間もないからなのか。
でも、少しくらい婚姻色が出てきている個体があっても、おかしくないですしね。
他のトラウトに比べて婚姻色は薄いのかな? 今度、調べてみますね。
ところで、滞在されたロッジとかのコンディションはどうでしたか?
Mさん:
まあまあ、良かったですよ。
ただ、自家発電で、夜中とか電気付かないんですよね。電力不足で。
* DORADOロッジの全景と室内に飾られているドラードのはく製
K:
省電力ってことでしょうね。もう寝ろと( 笑 )。 あっ、この魚は? すごいですね。
( 村椙さんは、ご自身の釣行記のホームページを持たれていて、 ここから、それを見ながらの会話になりました )
Mさん:
タイガーショベルノーズっていう。ナマズの仲間ですね。引きは強烈なんですけど、ジャンプはしない。
これは、前半の旅のパラナ水系で釣った魚で、原住民のディナーになりました。
* タイガーショベルノーズ
K:
なるほど。
直近のアルゼンチンのフィッシングについて、まずお伺いしましたが、
最初の海外のきっかけは何だったのですか?
Mさん:
ルアーでGT( ジャイアント・トレバリー=ロウニンアジ )を釣りたかったんです。
10年程前ですが。ネットで探して、モルディブのツアーを見つけて
行ったのが最初ですね。それで釣れて、これはいいなと。
K:
で、ハマったというわけですね?
Mさん:
はい。
K:
あ、このGTはいいですねー!
Mさん:
でも、モルディブのGTは、あまり大きくないんですよ。
* 初の海外釣行、モルディブで釣ったGT 2005年8月
* GTとファイト中。モルディブ、2005年8月
K:
そうなんですか~ でも、すごく美しい!
その後、2010年にはバリ島にもGTを釣りに行かれているんですね。
これもいい写真すね。
* バリにて。GT、推定25kg 2010年1月
Mさん:
バリは、レンボガン島バトゥアバという釣り場ですが、
ここのGTは20~30kgがアベレージで釣れると言われているところです。
事実、釣れるGTは、すべてそのくらいのサイズでした。
このサイズになると釣り上げるの、たいへんですけどね。
* バリ、レンボガン島バトゥアバの釣り場風景
K:
そうでしょうね~
僕も一度だけ、GT狙いでパラオに行ったことがあるのですが。
GTフィッシングって心臓に悪いですよね。
Mさん:
と、言いますと?
K:
大きいポッパーとかをトップで引いていると、突然に魚の黒い影が現れて、水面がさく裂。
ダイナマイトフィッシングなんて言われますが。まさにそうで。ドキドキですよね。
水面がさく裂する際に、GTの大きな口の中まで見えたり。
ビビってリールを巻く手が止まったり、スピードが緩くなったりして
ルアーの動きが不自然になると、魚は異変に気づいて反転して逃げていく。
ビビらずに平然とルアーを操作し続けるには、相当に心臓強くないと、と思いました。
Mさん:
ははは~
あれは、あれで面白いですけどね。さく裂する瞬間とか、いいですよ~
掛けてからも、それなりにでかいですから、引きもすごいですしね。
引きは、大きければ大きいほど面白いですから。
K:
僕は、小心者だから、もういいかな~って( 笑 )
*村椙さんのHPを見ながら、ここでネパールという文字を発見。
へぇー、ネパールも行ったんですか? すごいな~
Mさん:
はい。ネットで調べて、現地に日本人で釣りのガイドをしている方を見つけまして。
その方を訪ねました。ヒマラヤの黄金の魚と言われている、マハシールというコイ科の魚なんですけど。
それを釣りたくて。
* ゴールデンマハシール~KARINARI RIVERで釣った82cm 、2012年2月
K:
ほ~
これ、面白いですねー!
ゴールデンマハシールっていうんですか。カタチもユニークだし、かっこいいですしね。
それに、名前もかっこいいじゃないですか。コイ科だから、釣り場は森林地帯とか?
Mさん:
そうです。生態系的には、思いっきりジャングル系ですね。
K:
滞在は、テント生活? ですか。
Mさん:
ジャングルでトラとかの動物を見学するツアー客を泊めるロッジがあって、そこに釣り客も泊るという感じで。
* ネパール、BRDIA JANGLU COTTAGE。2012年2月
K:
結構、いい感じのロッジですね。
その日本人のガイドの方が宿泊先を手配して、村椙さんは現地に行くまでの行程は
ご自分で手配して。ということでしょうか?それと、その日本人の方ってガイド業専門なのでしょうか?
Mさん:
手配関係については、おっしゃる通りです。現地の、その日本人の方は、旅行代理業、釣りのガイド、
後はネパール語の通訳とかもしているって言っていました。奥さんはネパール人だそうです。
K:
面白いですね~
あ、そうそう。ネパールの食事ってどうでした?
Mさん:
ほとんどカレーですね。インドに近い感じでしょうか。
* 川原でランチ、ドライカレーに野菜の蒸し焼きカレー。ここでの食事は毎度カレー
K:
なるほど~ 毎日カレーで、大丈夫でしたか?
僕は、今年の夏にノルウェーに行きましたが、毎食サラミサンドでまいっちゃいました( 笑 )。
Mさん:
とりあえず、大丈夫でした。食べ物はなんでも食べるんで。
K:
どんどん聞きますが、、、
韓国にも行っているんですね? 韓国に釣りに行くのも珍しいですよね。場所は、どの辺なんでしょうか。
Mさん:
インチョンというところにいた韓国人ガイドに連れていってもらったんです。
インチョン空港から約300km、東の方向にあるボンファという田舎町でした。
* ボンファ、川の風景。2011年8月
K:
あ、この魚はきれいですねー!何科の魚なんですか?
Mさん:
何だろう。淡水、川での釣りなんですけど。川の王って、韓国では言われてます。
絶滅が危惧されているようですが。
* 韓国の川の王、ソガリ
K:
面白いな~ 韓国には韓国の固有種がいるんですね。
この魚は、韓国の方は食べたりするのでしょうか?
Mさん:
そうですね。食用にもされるようです。おいしいらしいですよ。
K:
へぇ~ 絶滅してしまわないか、ちょっと心配ですが。
ところで、この韓国の釣り旅は、どのようにアレンジしたのでしょう?
Mさん:
これも、ネットで調べたんですが。韓国のガイドで、日本語を話せる人がいて。
連絡して、訪ねて。連れていってもらいました。
* ナマズがまるまる1匹入り鍋
K:
なるほど~、ネパールと同じような。ネットで現地のガイドを探して、コンタクト取るという。
そういうパターンなんですね。
わっ、これは、カナダ? このスタージョンって。チョウザメですよね?
すごいな~ まぁ、いろんな魚、釣ってますね~ バンクーバーの近くなんですか?
* スタージョン~このサイズを4~5本釣りました。2010年8月
Mさん:
はい。バンクーバーから、車で2~3時間くらい。フレーザーリバーという川ですね。
K:
これは、エサ釣りなんですね?何をエサにして釣るんですか?
Mさん:
レッドサーモンの切り身です。
最初にレッドサーモンを釣って。それをエサにして。
* ボートで、スタージョンを釣っているところ
K:
へぇ~ この大きさだと重いし、上げるのに時間かかりますよね。
Mさん:
重いのは重いですが、30分はかかってないと思いますよ。
*フレーザーリバーの風景
K:
ところで、本当に釣られている魚がバラエティに富んでいますが、
次に何を釣ろうかって、どうやって決めているのですか?
Mさん:
常に釣りたいと思っている魚は何種類かあるんですよ。
次に何をっていうのは、休めるタイミングによるんですよね。
K:
そうか、そうか。
釣りたい魚があっても、その年に休めるタイミングが、その魚のシーズンじゃなかったりすると
諦めるしかないですものね。で、次の候補をあたる。釣りたい魚と休める時期との掛け算ってわけですね。
Mさん:
そうなんです。
K:
なるほどね~
これだけ、いろんな場所でいろんな魚を釣っていますが、
これから釣りたい魚って、あるんですか?
Mさん:
アトランティックサーモンは釣ってみたいですね。
それと、場所としては、ロシアも行ってみたいし。シーマやタイメンを釣りに。
あとトラウト系では、シェラネバダのゴールデントラウトかな~ 怪魚系もいいですけどね。
*ここで、私から、ノルウェーのアトランティックサーモンやシベリアのシーマ、タイメンなどの釣り体験について、少々お話しさせていただきました。
K:
あー、写真でしか見たことがないのですが、ゴールデントラウトはきれいですよね~
ちょっと、抽象的な質問なのですが、村椙さんにとって。
海外釣り旅の魅力って何でしょうか?難しい質問かもしれませんが。みなさんに聞いているもので。
Mさん:
難しいですね~
半分は海外旅行の意味合いもありますしね。
日本では味わえないですからね。見るものも全然違うし。食べ物も全然違いますし。
そして、釣れる魚も全然違いますし。まあ、日本よりは釣れますしね。
K:
みなさん、おっしゃいますね。日本では釣れない魚を釣る面白さって。
今年は、円安になって、海外釣行はお休みとおっしゃって
いましたが、ぜひ次回の旅も期待しています。今日は、長時間ありがとうございました。
完
<編集後記>
社会人になられて約10年のブランクを経て、釣りを再開。
そして、モルディブのGTをきっかけに、海外釣り旅がスタート。
それ以来、現在までの10年間に10数回の海外釣行を経験しているという村椙さん。
しかも、行く場所と釣ってきた魚のバラエティの豊かさには驚きました。
その情熱と行動力には、舌を巻くばかりです。
インタビューの限られた時間の中で、その詳細をお聞きできなかったお話もありました。
アラスカのキングサーモン、マレーシアのセイルフィッシュやピーコックバス、モンゴルのタイメンなどなど。
ご関心のある方は、ぜひ村椙さんのHP( https://murasugi.web.fc2.com/ )をご参照ください。