vol.2 アトランティックサーモン、ノルウェーの旅
2014年08月31日 17:13
「アトランティックサーモン、ノルウェーの旅 」2014.8.6~8.14で行ってまいりました。
私にとっては、いわば " サーモン完結篇 " の旅となりました。
スプーンというルアーでサーモンを釣る旅。1989年、アラスカのレッドサーモン( ベニザケ )を
始めとして、アラスカやカナダでシルバーサーモン( ギンザケ )とキングサーモン
( マスノスケ )を。そして、2010年には、ロシア・カムチャッカ半島でピンクサーモン
( カラフトマス )とチャムサーモン( シロサケ )を釣ってきました。これら5種類は、太平洋鮭の仲間です。
その他に、太平洋鮭の代表的な種とされるサクラマス( 降海型のヤマメ )を2002年シベリアで、
スティールヘッド ( 降海型のニジマス )を2004年カナダで釣ることができました。
私にとって、唯一釣ったことのないサーモンは大西洋鮭。つまり、アトランティックサーモンです。
欧州エリアの代表的なトラウトであるブラウントラウトの降海型、シートラウトも大西洋鮭の仲間。
こちらもいつか釣って みたいと思っています。
アトランティックサーモンを釣ることができる代表的なエリアは、カナダ東海岸側や
ロシア・コラ半島などの河川がありますが、何故かフライフィッシング・オンリーがルールでルアーフィッシングはNGなのです。
他には北欧を中心としたヨーロッパがあります。ただし、過去に何度かチャレンジしようと
したのですが、ほとんど情報が無く諦めていました。
ところが、今年の5月。まだ日本から一般の釣り人がツアーで行った実績はないが
ルアーでも釣りが可能なエリアと快適なフィッシングロッジがノルウェーに存在し、
アクセスが可能との情報を入手。これは行くしかないと即決、チャレンジすることに!
1989年に始まったサーモンフィッシングの旅。気が付けば、25年の歳月が流れていました。
さて、お待たせしました。" サーモン完結篇 "ご報告です!!
<8.6(水)>
東京( 成田 )発AM10:30 KL862便( オランダ航空 )にて。30分遅れのAM11:00離陸、
オランダ・アムステルダムへ。約11時間のフライトで到着。
到着時刻は、8月6日の15:00( 日本時間は同日のPM10、時差は-7時間 )。
空港近くのホテル、HILTON AMSTERDAM AIRPORTで一泊。
<8.7(木)>
アムステルダム発AM9:35発KL1173便にてノルウェー・トロンハイムへ。
約2時間のフライトで到着。ここから、レンタカーで宿泊先のロッジに向かいました。
( 保険、カーナビ含めてレンタカーは約18万円と高額。加えてガソリン代は
約一週間で、1Lが約300円!高い!×推定40L=約12000円 )
車はプジョーで、日本のフィットくらいのサイズ。
*レンタカーと街道沿いの田園風景
車は、マニュアル車。マニュアルの車なんて、20数年ぶりなので超緊張しました。
レンタカーの車庫から出す際、いきなりエンストです。スタートから到着まで5~6回はエンストしたでしょうか。
また、道路には信号がなく、上下一車線でほとんど中央分離帯もない。
車は時速80~90kmのスピードで走っており、相当プレッシャーの高いドライブに。
そして、急遽借りたカーナビはうまく使いこなせず、四苦八苦です。日本から持参したグーグルマップの
カラーコピーを頼りに何とか、無事に2時間半ほどのドライブでロッジに到着しました。
途中、一度だけドライブインのような場所に立ち寄りビールとミネラルウォーターを購入。
500mlの缶ビールが1本20クローネ(日本円で約600円!)。その他、ほとんどの食品や雑貨も日本の2~3倍の物価で驚きました。
* ロッジの全景
午後3時くらいに到着したORKLA RIVER LODGE( オルクラリバーロッジ )では、
ロッジオーナーのリーフさん( 80歳男性 )の甥のオタル( OTTAR )さん
( 50歳代男性 )とその息子のダニエルさん( 13歳男の子 )の二人が迎えてくれました
現在、ゲストは私一人とのこと( 帰る時まで一人だった )。
ロッジの食事やベッドメイク等の雑事から釣りのガイドまで、オタルさん一人で切り盛りしているようでした。
* ロッジの玄関
イブニングの釣りは19時くらいからとのことで、しばし休憩。
19時ロッジをオタルさん、ダニエルさんと3人で出発。
まず、釣り具の消毒屋さんに立ち寄って、私のロッド( リールもセットした状態 )、
ウェーダー、ウェーダーシューズの3点をじゃぶじゃぶと消毒。( 費用は約3000円 )
他国から来た場合や現地でも違う川に釣りに行く際には消毒が義務付けられているとのこと。
主に生態系保護のためにバクテリアを殺菌するのだそうです。
消毒液は棺桶ほどの大きさの箱に入っています( 写真、撮り忘れました。すみません! )
その後、2つのポイントを下見。結果、sone6というポイントで釣りとなりました。
20~22時くらいまでロッドを振るがアタリもなく、この日は終了。
* sone6というポイント、川の風景
<8.8(金)>
9時に朝食。自家製パン、サラミ、ハム、チーズ、イチゴジャム、サバ煮の缶詰め、
ゆで卵、トマト、赤いパプリカにコーヒー、オレンジジュース。これをセルフでいただくというスタイル。
*朝食のメニュー
10時にロッジを出発。昨夜遅くにロッジオーナーのリーフさんが来ていたようで、
リーフさん、オタルさん、ダニエルさんと私の4人で釣りへ。ポイントは、sone6。
ノルウェーでは、どこでも自由に釣りができるのではなく、ビート制といって川にはその土地の所有者がいて、
その許可とフィッシングライセンスを購入して釣りが可能になります。
川岸には、各区画( 川に線が引いているわけではないが )の所有者( 権利者 )の目印として、
その上流と下流の境界線上に目印の杭が打たれていました。
*境界線の杭
sone6というポイントの流程で、オルクラリバーロッジの釣りが可能な区画は上流~下流で
約400mの幅。その他にも釣りが可能なポイントはいくつかあるようなことをオタルさんは言っていましたが、
現在ここが一番いいとの話で最後まで、この一か所で釣りをすることに。
*舗装された幹線道路から曲がり、未舗装のこの道を抜けるとオルクラリバーの釣り場に出ます
10:30~14:30がモーニングライズ( 朝から昼過ぎまで )のフィッシングタイム。
12:00くらいに下流のポイントで、若干ライズが見られるようになり、その直後に
ライズのあった対岸ぎりぎりにルアーをキャスト。着水から、1~2秒でリトリーブを
ゆっくり目に開始し、リールを2~3回巻いたところで、ガツンッとアタリが!
1~2回低めのジャンプがありましたが、どちらかというとボトムへ引っ張ろうとするファイト。
2~3分のやりとりで無事にランディング。海から遡上して間もないのでしょう。
ボディ全体は銀色に輝いていて、背中は緑と茶の中間のような深い色。
そこにくっきりと多くの黒点が散りばめられている。美しいです。
1尾目~アトランティックサーモンを遂にキャッチ。やったー!
というよりも" ホッとした~ "というのがこの時の実感でした。
約60cm弱、2kg強の雄。ルアーはスプーン12g( Coatac 金赤 )。天候は曇り。
ロッジに一度戻って休息。この時間を利用して昼食をどこかで食べようかと思ったが
近くにはお店もなさそうなのでオタルさんに相談。
レストランは遠いし、高いから近所のスーパーで好きな食材を買ってきたほうがいいとのアドバイス。
それで、スーパーに行ってみましたが、食事になりそうなものは、ロッジの朝食と
同様で、パン、サラミ、ハムといったものしかありません。結果、パン、サラミ、レタス( 1個500円!)と
バナナが唯一、日本と価格が同じくらいで、400円・7~8本の束を購入。
* 昼食や夕食は、いつもこれ
朝は前述のメニューで、昼、夜はバナナか、スーパーで買った材料でサラミサンド。
これを、ずっと繰り返すことに。3日も経つと、さすがに飽きて辛かったです。
イブニングライズの釣りは、19:30~23:30。同じように、リーフさん、オタルさん、ダニエルさんと。
ライズもアタリもなく。4人ともさっぱり釣れず。
<8.9(土)>
10:00~15:00、休憩をはさんで19:00~23:00の釣りでしたが、この日はアタリもなく終了。
唯一、オーナーのリーフさんが朝の10:30頃に60cmクラスのアトランティックサーモン
を釣っていました。この日の夜、釣りをしながら川原でこのサーモンのバーベキューをいただくことに。
*サーモンBBQの風景。川原には常設のBBQコンロがあります
* sone6の川原には、テーブルや休憩小屋も常設されています
8.7~8.9の3日間は、おおよそ10:00~15:00と19:00~23:00という時間帯で釣りをしてきました。
オタルさんいわく、海が満潮時に多くのサーモンが上って来るそうで
( 潮位表のサイトをいつもチェックしていた )それに合わせて、釣りのタイミングを設定しているとのことでした。
しかしながら、魚の活性は総じて悪い。特に、今年は猛暑で日中は晴れると最高気温が28℃にもなる。
日中ここまで高温になり、しかも23時まで日が暮れないという環境。低水温を好むサケの仲間は
潮位云々に関わらず活性が下がって当然ではないか。
もしかしたら唯一活性が高まるのは、夜間に気温が下がるので、その影響で水温が下がる夜明けから早朝なのではないか。
( 夜は、23~4時の僅か5時間だが、夜明けの気温は10℃前後 )
そう考えているところに、オタルさんが「どうも、他のポイントで釣果を上げているのは早朝のようだ」という情報を教えてくれました。
オルクラリバーでは、フィッシング情報のポータルサイトがあって川周辺の各ロッジから、その日の釣果情報が毎日アップされます。
( 釣り人の名前、魚の重量、ルアーかフライか、釣った時間・ポイント等 )
ということで、翌日からは、朝の時間帯を中心に攻めることに変更です。
<8.10(日)>
朝4:30に起床。オタルさんが厨房にセットしてくれたコーヒーメーカーにスイッチを
入れる。熱いコーヒーをポットに入れて5時に一人で出発。朝食用にバナナを持参です。
予想は当たりで、日中よりはるかに活性が高い。ライズやもじりも散見されました。
5:30~7:30にかけて、3回のヒット。1回目、2回目は残念ながらバラシ。
3回目は、初ヒットの魚よりも大物らしく、3~4分のやりとりが続く。
しかしながら、最後にラインブレイクしてランディングできず、でした。
あ~、残念!後になってみれば、悔しいことも旅の思い出にはなるのですが
旅の現場ではそんな余裕はなく、落ち込むことしきりです( 涙 )。
( ルアーは同じく、スプーン12g・Coatac金赤 )
10:30に終了してロッジに帰り、休息。夜は、18:30~22:00までロッドを振るもやはり、ノーヒット。
早朝、活性が高いことは確認できたので翌朝に期待。
ただし、活性が高いといってもチャンスは2~3回という想定。厳しいです!
<8.11(月)>
昨日と同様に4:30起床で、5:30に釣りスタート。朝の気温は7℃とぐっと
冷え込む。これは、期待できると思いました。
結果は予想通り。今回の釣りで、この日の朝がもっとも活性が高かった。5ヒット、2キャッチ。
2尾目~7:40 60cmクラス雄。ルアーは同じくスプーン12g・Coatac金赤。
軽いコツっというアタリが2回続き、3回目にぐんっと引き込むようなアタリが
来て大きく合わせました。ジャンプしたり、もぐったりと。かなりやんちゃな感じで、
2~3分のファイトの末にキャッチ。初ヒットの魚と同クラスだったので、写真は撮らずに即リリース。
3尾目~8:50 70cmクラス雌。10cm大きいと体重は倍以上で推定約5kg。
全体的に2尾目の魚のように、コツコツとじゃれるようなアタリが多いのですが、この魚は、
一発ガツンッというアタリで食ってきました。そして、一度も水面からジャンプすることなく、
ぐいぐいと川底へ引っ張ろうというファイト。4~5分は掛かったでしょうか。
やっとの思いで岸に寄せることができました。ルアーはスプーン14g・ダイワのチヌーク、シルバー。
1~2尾目のシルバーの魚と異なり、背中は青と緑の中間のような色で、腹は濁った
黄色に薄い紅が入る。婚姻色が出始めている、とても美しい魚。
結果として、3尾目のこの魚が今回最大の釣果だったのですが、残念ながら写真を撮ることができませんでした。
ポイントの川原は直径10~15cmくらいの丸石がごろごろと積み重なり、魚を岸の上にずり上げることが困難なのです。
ぎりぎりまで水があり、際でも5~10cmの水深がある。そこまで魚を寄せて、手で抱えてのランディンングとなります。
* 川原は大きな丸石だらけ
その場合に大きい魚は当然のようにつかみづらく、またパワーも残っている。
3尾目の魚は抱えるとほぼ同時にすごい力で手からはねて川へ戻っていきました。
一瞬の出来事でした。言い訳っぽいけど、本当なんです~これも悔しかったな~
ランディングネットは現地にあったのですが、両手でしか使用できない特大サイズ
( よくアラスカでガイドがお客さんのランディングのフォローで使うもの )で
一人で釣りながら使用できるものではなかったのです。
片手で使える大き目のランディングネットを持参したほうがベターとは思いましたが
今回、それで無事にランディングできたかどうかは何とも言えません。
この日も夜は昨晩同様の時間帯でトライするもノーヒット。
オタルさんも釣りに同行。川原でチキンのバーベキューをいただきました。
<8.12(火)>
ついに釣り最終日。3日連続の4:30起床。
釣りは、5:20~10:00。
4尾目~釣り開始10分後の5:30のこと。これもアタリは、コツコツの後にぐんっと
来る感じでした。雄、約60cm・2kg強。ルアーはスプーン12g・Coatac金赤。
*最終日の1尾、ややピンボケが残念です!
これにて、釣りは終了。
補足ですが、レギュレーションはかなり緩いと感じました。
トリプルフック( 私は使用しないが )やバーブ( 針の返し )もOK。
魚をキープしたい場合は雄の65cm未満のみ。雌と65cm以上の大型の雄は
リリースして資源量を維持するとの考え方のようです。
ロッジに戻り、帰りの支度をして13:00にロッジを出発。
トロンハイム空港へ。運転も慣れて、また落ち着いてカーナビの使い方も理解できて、
帰りは順調なドライブで、ホテルに到着。
RADISSON BLU HOTELはトロンハイム空港ビルの隣にあり、歩いて空港に行けるので
とても便利。かつ、新しく、しっかりした造りのいいホテルでした。ここで一泊。
<8.13(水)>
12:20トロンハイム発KL1174で14:30にアムステルダムへ。
17:50アムステルダム発KL863で東京・成田へ。成田へは、8.14(木)日本時間12:00に到着。
結果的には、4尾のキャッチという厳しいフィッシング。魚より、風景と食べ物の写真の方が多い・笑!
でも、本音を言うと " ゼロ " じゃなくて良かった!!
太平洋鮭5種と大西洋鮭を釣るという、釣り人としての一つの夢が達成できたのだから。大満足の釣り旅 " サーモン完結篇 " でした。
帰る前日の夜に、ロッジのマスターのオタルさんが話してくれました。
「 今年の6月は最悪で小さなアタリはあるものの、ほとんどルアーやフライに魚はヒットしなかった。
1尾も釣り上げることなく帰っていく釣り人が続出したんだ。7月後半から徐々に釣れるようになってきた。
それでも、一週間滞在して1~2尾。だから、工藤さんはラッキーなんだよ 」
うひょ~! この話、初日に聞かなくてよかったー!
聞いていたら心折れて、釣果はもっと悪かったかも?! 小心者なもので・笑
* 左から、ダニエルさん、リーフさん、私、そしてオタルさん。本当にお世話になりました。8.9夜のサーモンBBQのときの写真
追記<1>アトランティックサーモンフィッシングについて
サイズ、パワーは平均的にはシルバーサーモンに近い。
ただし、そのアタリは独特。ガツンと食ってくることはあるにはあるが稀。
大半は、こつんこつんと様子を見てルアーに触れている感じだ。
( 活性の度合いにもよるが、シルバーサーモンほど積極的ではない )
オタルさんいわく、あせって早合わせをしてはだめ。
こつんこつんときたら、1、2、3で合わせるくらいがいいそう。
また、ヒットしてもバラシやすい。これは、食いが総じて浅いのか。
それとも口周辺が柔らかいからなのかは不明。
ヒットしても慎重なやりとりが必要で、強引に引っ張るのは禁物。
このコツがわかる( アタマでわかっていても、カラダが慣れるのに時間が
かかる )のに2~3日かかったようだ。
追記<2>この旅についてのアドバイス
ルアーでアトランティックサーモンを釣ってみたいという方には、
やや厳しい釣りにはなるがお勧めできる。
アラスカやカナダのように自由にボートで移動する釣りに比べて、ポイントが
限定される窮屈さはあるが、一方で特定のポイントを占有できるのはメリットでもある。
このオルクラリバーロッジに行かれるのであれば、レンタカーのドライブ、現場での
釣りの状況から鑑みると2人以上の釣行のほうがいい。
レンタカーでは、一人がナビゲーターをすれば、もう一人は運転に集中できるし
レンタカーの費用負担もシェアできる。
( 今回、費用軽減のために最小クラスの車にしたが、できれば釣り場への移動のためには
ステーションワゴン等を借りたほうがいい。ロッドを始めとした荷物の収納のためにも )
そして、2人以上であれば、釣りにおいても魚のランディングをフォローし合える。
また、食事がパンのみと単調になるので、日本から好きな食事( カップ麺、
レトルト米飯、インスタントみそ汁等 )を少し持参されるといい。
ランディングネットは大き目ながら、片手で使用できるものがあるとベター。
それととにかく物価が高いことに要注意。
クレジットカードの持参は必須。ガソリンスタンドなどはほとんどクレジット
カード・オンリーだったりする( 暗証番号を忘れずに )。
完